ベルリン市、水道ユーティリティを全面買い戻しか

ベルリン市に上下水道サービスを提供しているBerliner Wasserbetriebe(BWB)は現在、株式の50.1%をベルリン市が、24.95%ずつをそれぞれRWEとVeolia Environmentが保有している。だが、RWEの持ち分である24.95%の株式をベルリン市が買い取ることですでに基本合意が成立したのにつづき、Veolia Environmentも持ち分の24.95%を売却したい意向であることを表明していることから、ベルリン市がこの水道ユーティリティを全面的に買い戻す可能性がでてきた。

ベルリン市のUlrich Nussabaum財務長官のKathrin Bierwirth広報官が語ったところによると、現在、同市の合議制行政庁である参事会で実権を握っている与党連合は、Veoliaの申し出を受け入れるかどうかの決断を迫られている。

これについて、BWBの広報担当者はコメントを拒否しており、ベルリン市参事会のメンバーからのコメントもいまのところ得られていない。さらに、Veoliaの広報担当者もコメントを拒んでいる。

RWEの持ち分である24.95%の買い取り価格については、6億2000万ユーロ(約600億円)前後とも6億5000万ユーロ(約630億円)前後とも報じられているが、RWEもベルリン市もこれについてのコメントを拒んでいる。Veoliaの持ち分である24.95%の提示価格についても、これとほぼ同額であろうとの報道がなされている。

BWBに上水道料金値下げ命令:

いっぽう、連邦カルテル庁は2012年6月5日、BWBが数年間にわたって上水道料金を高く取りすぎていたとして、値下げを命令したことを明らかにした。同庁が公表した文書によると、値下げ幅は2012年分が18%、2013年から2015年までが平均17%となっている。これにより、BWBの売上は2012年から2015年までの期間におよそ2億5400万ユーロ(約248億円)減ることになる。

連邦カルテル庁はさらに、2009年から2011年までの分についてもさかのぼって値下げを命令する権利を留保しているとしている。

いっぽう、BWBは、連邦カルテル庁のこの決定の無効を訴えるとしている。これについてBWBのJoerg Simon CEOは、「われわれは料金値下げに反対しているわけではなく、法的な根拠の説明が不可欠だと考えているのだ」と述べている。

RWEの持ち株売却にVeoliaが差し止め訴訟:

上述したRWEによるBWB株の売却にはベルリン市議会などのいくつかの機関の承認が必要であるが、それに加えて、Veoliaによる売却差し止め訴訟という障壁もクリアしなければならない。Veoliaは、RWEの持ち株売却が自社の利益を損なうとして差し止めを求めているが、これは一旦、裁判所によって却下されている。しかしVeoliaはこの決定を不服とし、最近になって上級審に上訴した。

タグ「, 」の記事:

2020年7月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中のマイクロプラスチックの定義を発表
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年5月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中の六価クロムの新汚染基準策定に向けたワークショップを開催
2020年3月24日
米EPA、飲料水中のPFOAとPFOSの規制を予備決定
2020年2月23日
米州水規制規制機関協会ADERASA、上下水法規に関する第12回イベロアメリカ・フォーラム開催