General Electric(GE)と、シンガポールに本社を置く膜蒸留(MD)技術の専門企業memsys clearwater Pte. Ltd.はこのほど、急成長を見せているシェール・ガスなど非在来型の石油・ガス採掘分野向けの水技術を共同で開発することで合意した。この合意にもとづき、GEは淡水化技術の試験に投資し、その見返りとして、この分野での技術を独占的に使用する権利を得る。
非在来型の資源採掘プロジェクトに最適なmemsysのMD技術
GEは、熱と膜を利用したシステムの設計に幅広い実績があり、また、広範な分野での研究能力をもつGE Global Researchを傘下に擁している。今回、GEとmemsysが合意に至ったのは、memsysのMD技術が、世界中で急速に発展しつつある非在来型の資源採掘プロジェクトを支え、そうしたプロジェクトの環境影響の低減につながる費用効果性の高い水処理技術への需要の高まりに応えていくのに、最適であると考えたからだ。
MDは、従来の熱蒸発プロセスと同じ効果を、省エネ、低コスト、小カーボン・フットプリントで実現することのできるブライン濃縮技術である。エネルギー消費を減らすことは、経費節減やエネルギー効率の改善ばかりでなく、排出削減や環境影響の低減にもつながってくる。
今回の提携合意について、memsysのGötz Lange CEOはこう述べている。「非在来型の資源掘削分野でGEと仕事ができるのは、すばらしいことだ。GEは、世界の水産業と発電産業で技術革新の先頭に立っており、非在来型の資源掘削の分野にわれわれのMD技術を売り込むにはまたとないパートナーだ」
memsysのMD技術の特長
memsysは、従来型の熱プロセスの手法を工学的に採り入れた多重効用式のMD技術を開発した。memsysのこのMD技術は熱的な技術であることから、非在来型の資源採掘の現場で発生する塩分濃度の高い水の処理に適している。
さらに、memsysのMD技術は膜技術でもあることから、コンパクトでモジュール構造をもち、しかもエネルギー効率にすぐれている。
memsysの技術について、GE Power & Waterのエンジニアード・システム部門――水・プロセス技術担当のJeff Connelly部長はこう述べている。「memsysは、大規模プロジェクト向けの商業的に成り立つスケーラブルなソリューションの開発にMD技術を応用した最初の企業だ。memsysの専門技術と、われわれのもつ技術的リーダーシップおよびビジネス上のプレゼンスが、非在来型の資源採掘分野で結びつくわけで、今回のmemsysとの合意はじつにユニークで刺激的なコラボレーションといえる」