北京市第10浄水場プロジェクトが着工――民間資本導入による水インフラ建設が本格化の兆し

2012年11月23日、北京市第10浄水場プラントAプロジェクトが正式に着工し、着工式典が北京市朝陽区定福荘で開催された。北京市第10浄水場プラントAプロジェクトは、北京市で国際公開入札によって実施される初の都市浄水場で、プロジェクトを担当する北京安菱水务科技有限公司(政府系北控水務集団社、北京市水道集団有限責任公司社と外資系金州水務集団社の共同出資によって設立されたプロジェクト会社)がBOT方式で建設、運営し、契約期間満了後(20年)、所有権を北京市政府に移転する。

同プロジェクトの総投資額は23億元(約305億円)、敷地面積は約180ムー(約12万平方メートル)で、設計上の処理能力は1日あたり50万立方メートルである。プロジェクトでは、原水を送るための導水管の敷設と浄水場の建設を行い、導水管の直径2.4メートル、長さ2.67キロメートルにわたり導入する。主に「南水北調」(中国南方地域の水を北方地域へ送る国家プロジェクト)プロジェクトによる水を水源とし、密雲ダムを補足的な水源としている。浄水場では、「通常処理+高度処理+紫外線クロラミン消毒」処理プロセスを採用している。
同施設は、2014年末に完成、稼動が予定されている。完成後、北京商務中心区(朝陽区にあるビジネスセンター)、通州区ニュータウンへ給水を行う計画である。

【関連URL】
「北京市第10浄水場プロジェクトが着工」
http://www.bjwater.gov.cn/tabid/134/InfoID/13490/frtid/40/Default.aspx

EnviXコメント

環境インフラ整備分野における積極的な民間資本の導入促進
北京市第10浄水場プラントAプロジェクトは、北京市初の国際公開入札によって建設を行う都市部給水施設である。2002年には公開入札が実施され、三菱商事と英国のアングリアン・ウォーターが共同出資で設立したプロジェクト会社が落札していた。しかし、資源確保などの問題が発生し、事業は中断されていた。今回、事業が再開された背景には、北京市政府による民間資本の導入が再び本格化したことを示している。
「北京市“十二五”水資源保護及び利用計画」では、水インフラ事業資金源に関して、「政府投資をメインに、様々な投資および融資先、民間資本による水インフラ施設建設への参入を奨励する」ことが明言されている。

北京市における潜在的な水関連市場
2012年11月26日、北京市水務局が前述の「北京市“十二五”水資源保護及び利用計画」(以下、「計画」)における環境影響報告書を公示し、同「計画」が実施段階に移ったことが示された。
同「計画」は、北京市国民経済と社会発展計画システム枠内の総合特別計画のひとつであり、“十二五”(2011~2015年)期間の北京市における水源保障、都市部への給水、排水処理・資源化、都市部および農村部の水環境、水資源保全、洪水対策についての指針を提示し、同期間中における重点任務、重要プロジェクトを明確にしたものである。さらに、同分野へ総額1000億元を投入することも明確化されている。
また、給水分野では、2015年までに7つの新規浄水場の建設が計画されており、143万立方メートル/日の給水能力の増加という目標を掲げている。

近年、北京市において、給水分野だけではなく、大規模な再生水プラント建設(高碑店再生水工場など)、膜技術の導入による給水(第9給水工場など)、排水処理施設のグレードアップ事業が積極的に実施されており、同分野における先進技術を有する日本企業にとって、今後も事業拡大に繋がる可能性のある潜在市場であるとみることができる。

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