米国水環境連盟が国家水インフラサミットを開催――水インフラ投資を怠れば米国経済に悪影響と指摘するとともに米議会での証言でもその必要性や雇用創出の効果を主張

2013年4月16日、ワシントンDCで米国水環境連盟(WEF)などの主催による「国家水インフラサミット(National Water Infrastructure Summit)」*が開催され、水インフラ投資を促進するビジネスモデルの作成を目的にそこに集まった民間及び公的セクターの水関係のトップ達は、「水インフラへの投資はアメリカの将来への投資だ」と声高に宣言した。また、彼らは同日、下院の内務環境歳出小委員会でも同様の趣旨の証言を行った。

今回のサミットでは、健全な水インフラの必要性と水への再投資により雇用が創出されるとの認識を高める必要性があることや、技術革新の推進と公衆衛生の保護の必要性についても提言された。同時に、ニューヨーク州Onondaga郡フィジカルサービス部次長のMatthew Millea氏は下院の内務環境歳出小委員会に出席して証言を行い、水質浄化プロジェクトへの連邦政府予算を追加してほしいと訴えた。

サミットでの専門家らの見解

同サミットでは他にも水分野のリーダーがパネリストとして発言し次のような見解を示した。

  1. 同サミットの幹事役でBusiness Services for American Waterの上席副社長John Bigelow氏がまず先に議論の口火を切った。「米国全体に目に見えない巨大な配管とトンネルのネットワークが張り巡らされており、その長さはハイウェイの8倍もの長さで約140万マイルもある。それらの信頼性を確保するべく関心を払ってゆく必要があり、その市場性は大きい。米国のインフラの多くは1世紀以上前に建設されたものであり、現在その約10%はその使用期限を迎えており、2020年までに対処しなければ、使用期限を迎えるインフラの割合は一気に44%へと上昇するだろう」
  2. DC Water社のGeorge Hawkins部長は、「対応しないままであれば、不具合を生じたインフラが増えて公共サービスが提供できない事態が拡大し、公衆衛生だけでなく経済、環境及び生活の質が脅かされることになる。目の前の問題を解決するために将来のために成すべきことをしないのではなく、皆さんは将来に係る問題に取り組みその解決のために協力し合ってゆくことが必要だ」と力説した。さらに同部長は、水分野でどの程度の雇用が生まれるのかとの問い合わせに対して、十分な水がなければ、また廃水処理サービスがなければ企業の成長も発展もないので、水市場には本質的にあらゆる種類の職種を創出する可能性がある、と答えた。
  3. Navigant Economics社の常務取締役でエコノミストのGeorge Schink博士も上述のHawkins氏の考えを支持し、「上水道インフラへの投資は他の分野のインフラへの投資に比較してその波及効果はもっとも大きいものがある」と述べた。
  4. すべてのパネリストがPhiladelphia市水事業体の委員長であるHoward Neukrug氏の考えに賛同した。Neukrug氏は、「インフラに不具合を生じさせるわけには行かない。我々は水インフラを再生させ、将来に向かってしっかりした計画を作って進めてゆく必要がある」と述べた。また、パネリストらは、「社会の水インフラの修復の必要性に対する認識は以前よりも高まってきているがまださらに高める必要があり、またそうすることができる」との考えで一致した。

また、WEFや他の産業組織の関係者は、米連邦議会も水インフラに対する地方政府による投資をもっと支援できるはずと考えており、上述したニューヨーク州のMillea氏はWEFの意見を代弁して議会で証言し「こうした歳出小委員会で証言させていただける機会をいただいたことは水関係者の声を議会関係者に伝えるうえで大変重要なものであり、確実に明確で一貫したメッセージを伝えてゆくものとなる」と述べた。

* 同サミットは、WEFが2012年大統領選挙の前に打ち上げた「水分野で雇用を:水はアメリカに雇用をもたらす(Water for Jobs: Water Puts America to Work)」キャンペーンの主たる活動の一つで、19の全米組織をパートナーに持つとともに、全米で31,000人を超える水質関係の専門家を代表する35のWEF会員産業組織の支援を受けている。

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