ハンガリーでは、一般家庭の家計に公共料金が占める割合が大きすぎるとして、2013年1月1日から電気、ガス、および暖房の料金が10%引き下げられた。同年7月からは、水道、下水道、および自治体の廃棄物収集料金が同様に引き下げられる予定だが、このうち、水道部門において、今回の料金の引き下げが事業の混乱を引き起こしかねないとの懸念が高まっている。専門家によると、料金の引き下げによって水道部門の流動資産が減少し、早ければ2013年の年内にも給水契約の遂行に支障がでる可能性があるという。
10%の料金引き下げの影響は給水業者によってさまざまだが、ここに追い討ちをかけるのが、2013年1月1日に導入された公共事業税である。ある市場関係者は、このダブルパンチによって、ほとんどの給水業者は赤字に転落するだろうと述べた。
公共事業税はパイプ(水道事業であれば水道管)の敷設距離に応じて税額が決まるため、大手の事業者ほど多額の税金を支払わなければならない。水道部門全体の収益は1700億フォリント(約690億円)前後だが、これに対して税額は、同部門全体で125億フォリント(約51億円)前後にのぼるとみられている。
こうしたなか、水道部門では、給水業者の統合に向けた動きが加速化している。統合自体は以前から進められていたものだが、今回の料金引き下げがこれに拍車をかけた。情報筋によると、ほとんどの給水業者はすでに統合計画を作成しており、現在は統合に関する法令の公布待ちの状態にあるという。
給水業者は予備の資金を有していないため、料金引き下げによる収益の減少には、費用、特に人件費と運転費を削減して対処する必要がある。水道部門ではここ2~3年、従業員数の減少が続いていたが、それでも変動の幅は通常の範囲内におさまっていた。今回の料金引き下げと公共事業税の導入による損失は、従業員の削減だけでは対処しきれない。給水業者は、EUが資金を拠出する投資の全面的な中止を余儀なくされている。