中国国家発展改革委員会(NDRC)は、2012年12月25日に「海水淡水化産業発展“十二五”計画」(以下「計画」)を公表した。同「計画」は、海水淡水化産業に関するもので初めて出された発展計画であり、海水淡水化産業の発展状況や“十二五”期間中に向けた発展目標、主要任務、重点プロジェクトなどを明確にしている。発展目標としては、“造水能力の向上”、“海水淡水化産業システムの健全化”、“海水淡水化における競争力の向上”が掲げられており、具体的には海水淡水化による造水能力を2015年までに220万m3/日以上まで引き上げる、などといった目標が示された。また同計画で明示された重点プロジェクトに対し、政府は適当な補助を行うとしている。
発展状況
同「計画」によると、2010年までに中国国内で完成した海水淡水化プラントは70カ所余りで、造水能力は1日60 万m3、年平均伸び率は60%を超えた。技術の利用状況に関しては、逆浸透法が総造水能力の66%を占め、低温多重効用蒸留法が総造水能力の33%を占めている。
発展目標
- 造水能力の向上
2015年までに、中国の海水淡水化における造水能力を220万m3/日以上に達成させる;海水淡水化の貢献度を島嶼地域での給水に関しては50%以上に、沿海部の水不足地域での工業用水給水量に関しては15%以上とするよう目指す。半かん水、弱塩水における淡水化利用能力を大幅に向上させる。 - 海水淡水化産業システムの健全化
中国の自主技術R&D、設備製造、工程設計建設と応用、原材料生産など、より完全な海水淡水化産業システムを構築し、海水淡水化関連産業サプライチェーンを健全化させる。海水淡水化産業における生産額を300億人民元以上に達成させる。海水淡水化事業関連原材料・設備製造における自主イノベーション率70%以上を達成させる。 - 海水淡水化における競争力の向上
海水淡水化事業関連建設・運営コストを継続的に削減し、コア技術・設備・材料のR&D及び製造能力が国際先進レベルに到達するよう目指す。また、海水淡水化市場を開拓し、国内外における市場競争力を向上させる。
主要任務
- 技術イノベーションを強化し、海水淡水化におけるコア競争力を向上させる。
- 設備製造を強化し、重要設備における製造能力を向上させる。
- モデル事業を重視し、生産プロセスにおけるレベル、及び工程建設能力を向上させる。
- 海水淡水化事業による淡水の利用を加速し、海水淡水化事業の水源保障における役割を発揮する。
- 基準システムを構築し、海水淡水化事業の良好な発展を促進する。
重点プロジェクト
- 国家海水淡水化重大モデルプロジェクト
- 重点分野における海水淡水化利用モデルプロジェクト
- 海水淡水化事業による淡水の市政給水システムの導入に関するモデルプロジェクト
- 近海都市における給水安全保障モデルプロジェクト
- 海水淡水化産業基地の構築
- 海水淡水化モデル都市の構築
投資試算
同「計画」では“十二五”期間中において、海水淡水化事業における投資需要額は210億人民元に上るとの試算をしている。そのうち、海水淡水化プロジェクト及び関連配管敷設事業分野では165億人民元;海水淡水化産業基地建設分野では35億人民元;海水淡水化産業発展関連制度構築分野では10億人民元といった試算がなされている。
資金調達に関しては、市場メカニズムを十分発揮し、企業による自社調達、銀行融資、社会融資、外資資本導入、政府補助など多方式を採用する;政府は、財政資金により同「計画」で確定した重点プロジェクトにおいて、適当な補助を行うと同「計画」で明確にした。
*1元=約14円
【関連URL】
同「計画」は下記URLにて閲覧可能である(中国語)。
http://www.sdpc.gov.cn/zcfb/zcfbtz/2012tz/W020121225521026743814.pdf