黄渤海産業連盟と東南海産業連盟の2大国家海水淡水化産業連盟は、2013年3月3日に北京で発足式典を行った。この式典には、国家発展改革委員会の幹部及び国家開発投資公司、杭州水処理技術研究開発有限公司、中冶集団、華東理工大学などの主要メンバー27社(機構・大学)の代表が出席した。
今回の2大国家海水淡水化産業連盟は、2012年2月公表にされた「国務院:海水淡水化産業発展の加速に関する意見」を背景に政府の推進の下、国家開発投資公司と杭州水処理技術研究開発有限公司を、黄渤海産業連盟と東南海産業連盟のそれぞれのリーダーとして発足したものである。
これら2つの連盟は、中国の海水淡水化分野におけるR&D、設備製造、エンジニアリング等の市場の方向性を明確にし、さらに産学の連携を強化することで、海水淡水化関連技術・設備製造、エンジニアリング、原材料生産及び関連サービス業などサプライチェーンの各部分を強化し、総合的な優位性を発揮し、市場競争力をつけることを目的としている。
また、証券時報の報道では、2013年3月に開催する中国の「両会」(中国人民政治協商会議、全国人民代表大会)で九三学社(中華人民共和国の衛星政党の1つ)が、海水淡水化事業の発展を推進するための議案を提出し、財政的なインセンティブ政策の策定・実施を提案するという。
2015年までの中国の海水淡水化目標
2012年12月、中国発展改革委員会は「海水淡水化産業発展“十二五”計画」(以下、本計画)を発表したが、そこでも、海水淡水化に関連する産業連盟の構築を重要任務の一環として取り上げている。その他、本計画では以下の目標を掲げている。
- 2015年までに、国内の海水淡水化による造水能力として【220万立方メートル/日以上】を達成させる。
- 島嶼地域において、新たに増加する給水量のうち50%以上を、海水淡水化による増加分で占める。
- 沿岸部の水不足地域において、新たに増加する工業用水量のうち15%以上を、海水淡水化による増加分で占める。
- 半鹹水、弱塩水に対する淡水化能力を大幅に向上させる。
海水淡水化関連の政策は、中国の海水淡水化事業の展開にとって大きな原動力になると期待されている。300億元(約4950億円)にも及ぶ巨大市場を見越して、関連設備、特に膜関連の中国企業が積極的に参入する動きが出始めている。