カタール、水と電力に向こう数年で220億ドル投資へ

カタールの電力水道公社の幹部がこのほど明らかにしたところによると、同国は水と電力の部門に、向こう8年間で――なかでも2018年までの5年間には特に集中的に――およそ220億ドル(約2兆1000億円)を投資する予定である。
この投資対象には、全国で最大140ヵ所の変電所の新設や、総延長810キロメートルを超える新たな上水道給水ラインの建設が含まれている。このほか、国内の5ヵ所に新たな貯水施設を建設し、総貯水容量を日量27億ガロン増やす計画もある。
これは、2013年2月19日にドーハのGrand Hyattホテルで開催されたQatar Projects会議で、電力水道公社のAhmed Nasser al-Nasser技術局長が、今後数年間のユーティリティ部門への投資機会の増大についてプレゼンテーションをおこなったなかで明らかにしたものだ。このなかで同局長は、電力水道公社がカタール国民への世界水準のサービス提供を確実におこなう決意であることを述べ、そのためのインフラ改善に巨額の投資が必要であるとの見通しを示した。

北部に新経済ゾーン

同局長によると、電力部門では、カタールの北部に大規模な発電所を少なくとも2基新設することなどにより、向こう5年間で発電設備容量を210万キロワット増強するほか、上水道部門においても、同じ期間に日量1億8000万ガロンの給水能力増大をはかる。これにより、上水道の総給水能力は2018年までに日量5億ガロンを超えることになる。
発電所の新設は、カタール政府が北部に建設予定の新経済ゾーンでおこなわれる。電力水道公社のAhmed Nasser al-Nasser技術局長によると、カタールの現在の総発電設備容量は870万キロワットである。
同局長はまた、電力水道公社が飲料水の生産に将来は蒸発法や逆浸透膜法を利用することについても検討していることを明らかにした。これについては、2013年内にさらに詰めていく予定だという。また、同じく2013年内には、北部のRas Laffan地域の新たなプロジェクトが完成し、給水能力が日量4000万ガロン増強される。

伸びる電力需要に対処

送電網の拡張も計画されており、100億カタール・リアル(約2600億円)以上が2018年までにこの分野に投じられる予定である。向こう5年間で新設される140ヵ所の変電所はすべて、66キロボルトから400キロボルトに対応する施設である。
カタールの電力消費量は、2012年には前年比でおよそ9%増えた。これは平均値で、ピーク時の伸びは13%に達した。

水部門への投資と同時に節水も

水部門には、向こう5年間だけでも32億カタール・リアル(約840億円)の投資が見込まれており、2022年までには、さらに38億カタール・リアル(約990億円)が投じられる予定で、このなかには、大規模な建設プロジェクトも含まれている。
al-Nasser技術局長はまた、節水の重要性についても触れ、カタールの人口増加とともに飲料水の需要のこれまでにない大幅な増加が見込まれることから、電力水道公社が向こう5年間で約35%の水消費量削減に取り組むという決意を改めて述べた。同局長は、カタールの人口1人あたりの水消費量が世界でもトップクラスであることを指摘し、同公社が国民による効果的な節水のキャンペーンにすでに着手していることを明らかにした。
これは電力についても同様で、家庭と商用ビルの双方で節電の取組がなされている。電力水道公社では、ドーハのThumamaに建設した大規模な展示パークなども活用して、ひとびとに節電を呼びかけている。

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