光ファイバー・ナノテクノロジーを利用して淡水化プラントの膜ファウリングを事前検知するセンサーを、ウェスタンオーストラリア州にあるエディスコーワン大学の電子科学研究所の研究チームが開発した。
同研究所のKamal Alameh教授が率いるチームは、「淡水化分野のナショナル・センター・オヴ・エクセレンス」の資金を得て、このセンサーの作製に成功した。
従来のセンサーと比べた利点
こうした用途に用いられる従来のセンサーは、かさばる上に腐食しやすく、しかも、通常は各センサー・ノードごとに電源が必要となる。これに対して、研究チームが新たに開発した光ファイバー・センサーは、淡水化プラントのモニタリング用として従来のものより精度が高く、しかも腐食などにも強いとAlameh教授は言う。
さらに、同教授は次のように述べている。「この光ファイバー・センサーは人間の毛髪と同じくらいの太さだ。光ファイバーのコストは、長さ1キロメートルあたりわずか7オーストラリア・ドル(約640円)にすぎない。われわれの光ファイバー・センサーは、塩分濃度の検出限界が1リットルあたり5ミリグラムときわめて精度がよく、そのため、ファウリングが切迫している状況を報せる警報装置として、リアルタイムの情報をもたらしてくれる」
同教授はまた、「このセンサーは必要な業界標準を満たすものであり、温度、流量、圧力、それに塩透過比率を捉えることができる」と述べている。
石油・ガス産業にも応用可
Alameh教授は、このセンサーを石油・ガス産業に応用することができると考えており、次のように述べている。「光ファイバーに導かれるレーザー光にはユニークな特徴があり、石油・ガス産業ではこれを使って深層における油質を判断したり、きわめて苛酷な環境でのガス検知をおこなったりすることができるだろう」
Alameh教授の研究チームは、すでに実証用の光ファイバー・センサーを作製しており、現在、産業界のパートナーと協力してこの技術の商業化の可能性をさぐっているところである。