米EPA、5回目となる全米上水インフラ改善のための必要投資額調査報告書を発表――今後20年間で約39兆円が必要と報告

米連邦政府の環境保護庁(EPA)は2013年6月4日、米国内の73,400箇所の飲料水施設やアメリカインディアン及びアラスカ原住民居住区の水道施設を含む飲料水インフラ施設の改善に2011年1月から2030年12月末までの20年間に必要とされる費用は3840億ドル(約39兆円)に上るとの調査結果を報告書として発表した。
この「EPA飲料水インフラニーズの調査アセスメント:第5回米議会向け報告書」は、全米に存在する飲料水に係わる、数千マイルに及ぶ配管施設、数千箇所の浄水処理施設の建設計画、飲料水貯蔵施設、そして配水設備を対象にそれらへの投資額を、各地の水道事業体による調査を元に集計し確認したものである。
具体的には、ランダムに選んだ全米約3,150箇所の水道事業体を規模別に大中小と分けてランダムサンプル調査用紙を送付しそれらの回答を基に分析されたという。

今回の発表に際してEPAのBob Perciasepe次官は、「今回の調査結果から、米国の水道施設は、既存のインフラ施設の多くがその寿命に達しているか近づいているという刷新・改造の時期に入っているということが示された」と語った。
EPAとしては、こうした調査分析結果を基にして州政府の「飲料水州リボルビングローン基金給付」を割り当てている。
今回の調査報告も、安全飲料水法にしたがって4年ごとにEPAが米連邦議会に提出することが義務付けられていたものである。

8年前の調査結果と大きく変わらず

前回の調査結果は2009年に発表されたが、その時点でも、対象になった2007年から2026年までの同じ20年間に必要とされる投資資金は3350億ドルと試算されていた。今回の2013年の調査結果で必要とされた資金のレベルは、前回2009年時の調査結果と前々回の2005年次の調査結果と、それぞれ2011年時点でのドル価値に換算すれば、ほとんど同じであるとEPAは報じている。

一方、EPAによれば、アメリカ水道事業協会(AWWA)による飲料水インフラへの必要投資額の試算はEPAのものよりもはるかに大きな額となっており、2012年にAWWAが公表したところでは、2011年から2050年までの40年間に水関連プロジェクトで必要とされる資金は1兆7000億ドル(約170兆円)に上るという。
これについてEPAは、AWWAの試算額がEPAのそれを大きく上回っている理由として、配管の交換や投資の算定方法での相違や対象期間の違いなどがあると指摘している。

今回の調査結果:分野別の必要投資額

  • 配水及び送水設備:老朽化もしくは劣化した配管の交換もしくは修繕に2470億ドル
  • 浄水処理施設:汚染削減のためにインフラ施設を新規建設、拡張あるいは修理するのに720億ドル
  • 貯水施設:飲料水の貯蔵施設を建設、修繕あるいは既にある施設を転用するなどのために395億ドル
  • 飲料水源:取水施設、井戸及び湧き水の収集設備の建設や修理に205億ドル

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