Siemens AGは2013年11月6日、水ビジネス部門の一部をプライベート・エクイティ・グループのAEA Investors LP(本社:ニューヨーク)に売却することで両社が合意に達したことを公表した。Siemensはかねてから明らかにしていたように、今後、水関連の事業を、浄水・下水処理プラントと海水淡水化プラントの運転のオートメーションと駆動(drive)関連のソリューションの提供に絞ることになる。
AEA Investors LPは、Siemens Water Technologies(SWT)のビジネス・ユニットに組み込まれている自治体向けおよび産業向けの浄水・廃水処理のソリューションの提供、およびそれらに関連したサービス事業を、およそ6億4000万ユーロ(約860億円)で買い取る。この事業売却は、法的手続きの完了後に正式に成立する。
この事業売却について、Siemensの取締役でSiemens Industry SectorのCEOでもあるSiegfried Russwurmはこう述べている。「工業部門への投資の経験ゆたかな投資会社であり、SWTの事業の推進とこれまでの顧客との関係の増進をつづけていきたいと考えているAEAに買っていただけることを、うれしく思う。Siemensとしては、今後の水ビジネスを、オートメーションと駆動の分野におけるわれわれのコア技術としての電子制御と同一線上にあるソリューションに特化して進めていくことになる」
Siemensの水ビジネス再編
2012年11月、Siemensは水ビジネスにおけるさまざまな事業を再編し、自治体向けおよび産業向け水関連アプリケーションの制御と管理のソリューションに絞り込むことを決定した。エネルギー部門の石油・ガス産業向けの水関連アプリケーションは全体として手つかずのまま残る。これらのソリューションのあいだには相互にシナジー効果があり、Siemensの環境関連ポートフォリオのなかでも成長の可能性が大きい。これらソリューションが使われるのは、たとえば、自治体の下水処理施設や浄水施設、それに、自動車製造、鉱業、化学工業、電子機器製造、石油・ガス、食品、飲料、医薬品など、広範な分野の産業施設である。
しかし、SWTが提供するサービスと、それを除くSiemensの事業ポートフォリオのあいだでは、シナジー効果がほとんど見込めない。なぜなら、水処理は主として化学的な領域だからである。さらに、SWTの事業の最大の部分は、北米の基準に縛られている。SWTにはおよそ4000人の従業員がいるが、その4分の3は北米で活動している。
経営陣は留まって連続性を確保
SWTのLukas Loeffler CEO以下、現在の経営陣は、その地位に留まり、AEAの投資の専門家および経営パートナーらと協力して、SWTの事業と資産の統合化と最適化をこれまでどおり成功裏に進めていくための経営の連続性を確保する。2004年に現在のSWTを買収したSiemens AGは、これからも、数ヵ月以内に予想される管理体制の刷新まではSWTをひきつづき見守っていくことになる。
AEAのもとで、SWTは従来どおり、自治体向けおよび産業向けの浄水・廃水処理の装置類とサービスの提供に絞った事業をつづけていく。
今回のSWT買収について、AEAのBrian Hoestereyマネージング・パートナーはこう述べている。「世界の水ビジネスのリーダーのひとつとパートナーを組めるのは、すばらしいことだ。われわれは、このビジネスをひきつづき成長させていこうという経営陣とそのプランを支持している」
いっぽう、SWTのLoeffer CEOはこう述べている。「SWTのさらなる事業構築、柔軟化、そして成長の新たなチャプターがはじまるのがたのしみだ。われわれはAEAといっしょに、これまでにひきつづいて、不朽のブランドと先進的な浄水・廃水処理技術をさらに確かなものとし、現在と未来の水需要に顧客が費用効果性のより高い仕方で応えることができるよう、手助けをしていく所存だ」