Siemensが、Infineon(半導体メーカー)、NSN(Nokia Siemens Networks)、太陽光発電事業、Osram(ランプメーカー)、そして郵便センターおよび空港における分別設備事業の売却に引き続き、”Water Technologies”部門を売却する計画を発表したのは昨年11月のことである。ちなみに同部門は黒字を計上しており、水ビジネス全体も有望な世界成長市場のひとつと経済評論家から評されている。
もっともSiemens の計画は、同ビジネスから完全に退くというものではない。コアビジネスの強化を意図したものであって、あくまでもこの目的のために、業績面で以前から目標成績を下回っているビジネスを切り離すというものである。同社のIndustry部門Media Relations責任者であるAlexander Machowetz氏は、「当社のコア・コンピタンス(中核業務)は産業プロセスの電動化です。水ビジネスの分野でも、同社のコア・コンピタンスには今後も引き続き成長のチャンスがあると見ています」とし、Siemensが将来にわたって利益を上げ、会社と従業員の未来を確実なものにするためには、このコア・コンピタンスに集中することは重要な要素のひとつであると語った。
2013年も中盤に差し掛かり、入札候補企業との交渉も佳境に入っていると見られるが、前出のMachowetz氏は「売却プロセスは計画通り進んでいる」と認めたものの、現時点ではその詳細は差し控えたいとしている。可能な売却先に関しても、Machowetz氏が口にしたのは「どのオプションも選択できるようにしてある」という回答のみ。それでもコンツェルン内部事情に詳しい筋から聞こえてくる情報によると、売却先として有望視されているのは、米国に拠点を置く企業である。米国は、Siemens Water Technologiesの年間売上げが約10 億ユーロに達している主要市場だ。また、ポートフォリオの一部である上下水処理用生物的プロセスの大部分は、米国の基準に合わせて開発されている。
なお、ドイツ国内で300名、そして全世界で4500名を数えるSiemens Water Technologies部門の従業員の行く末についてMachowetz氏は、「同部門の労使関係に関しては基本的に、売却に伴い将来の買い手に委ねることを前提としている」とコメントしている。