中国国内メディアが2013年8月末、北京市の今後の水資源関連対策の方向性について報じた。報道によれば北京市では2012年時点で、41カ所の大型・中型汚水処理場が建設され、中心地区においては汚水処理率が96%となったものの、北京市全体でみれば人口の急増に伴い大量の汚水が処理されずに川に排出されている状態にあるという。北京市ではこうした状況に対応するため、今後3年で再生水関連施設を47カ所建設し、汚水処理場20カ所についても再生水関連施設へと改造するといった計画が進められている。
上記計画は、北京市政府が2013年4月に出した通知(京政発[2013]14号)*に記載された内容であり、この通知ではその他にも2013年から2015年までに汚水処理・再生水利用施設の建設を大いに推進し、2015年までに全市の汚水処理率90%以上、中心地区の汚水処理率98%達成、市全体で汚泥の無害化処理や水質改善を図るといった目標を掲げている。
北京市では水資源が極めて欠乏しているが、既存の汚水処理場で処理された水は水質が良くないため、再利用できない。再生水関連施設で処理された水であれば水質の向上が見込め、水資源を補充できるのではと期待されている。
そのほか、北京市では4つの流域にまたがる再生水輸送プロジェクトを実施する見通しであり、1日あたり100万m3の再生水を上流の永定河、清河などに注入する計画があるという。
中国国内メディアはそのほか、北京市水務局の話として、北京市でより厳しい工業排水基準が策定される予定だと報じている。化学工業、製薬、紡績、食品製造、醸造および電気めっきなどの産業の工業汚水の排出を管理し、重点汚染企業の汚水については2015年末に新たな排出基準を確実に満たすよう図り、市の方向性と合わない企業、重金属を含んだ汚水を排出する小規模生産企業については閉業させるといった措置がとられる見通しだと報道は伝えている。
* 北京市が2013年4月に出した通知(京政発[2013]14号)の原文は下記URLにて閲覧可能である。
http://govfile.beijing.gov.cn/Govfile/front/content/12013014_0.html