インドのケーララ州、飲料水供給のPPP化を断念

インド南部のケーララ州政府は、かねてから提案していたCIALモデル――コーチン国際空港会社をモデルとする官民パートナーシップ(PPP)方式――によるケーララ飲料水供給会社の設立を、州民の反対に抗しきれずに断念した。
飲料水供給をPPP化してケーララ水道公社の役割を限定的なものにするという州政府の提案には反対の声がつよく、さまざまな憶測が飛び交っていた。だが、こうした事態は、ケーララ飲料水供給会社設立のために2013年に発した行政命令を州水資源省がこのたび撤回したことで収束した。
P. J. Joseph州水資源大臣は行政命令撤回の決定について、州民の要求を考慮してPPP化の提案を取り下げたことをつぎのようなことばで語った。「飲料水供給プロジェクトは今後も公的部門がおこなう。PPP化は、州民の反対があったのでやめることにした」

PPP化断念の経緯

ケーララ州政府は、飲料水供給会社の設立を許可することを2012年12月に決定したが、これが、野党を中心とする激しい反対に遭っていた。反対の声が高まった2013年3月、州政府は命令を改めて、上水道そのもののPPP化はしないことを明確にした。すなわち、新設する会社は給水車によってコロニーや商業施設に水を供給したり、容器入りの水を手ごろな価格で販売したりするものであることを明記したのである。しかし、それでも抵抗をやわらげることはできなかった。
州政府は2013年12月31日付の命令で、新設する会社について各方面から反対と懸念の声があがっていることを認めるとともに、CIALモデルによる会社設立を許可した行政命令を取り消す要求が出ていることを明らかにした。

ボトル水の供給を公的部門が推進

飲料水供給のPPP化を断念したものの、Joseph州水資源大臣は、ケーララ水道公社とケーララ灌漑インフラ開発公団がボトル水工場の建設を進めることができるとし、水道公社と灌漑インフラ開発公団に対し、ティルヴァナンタプラム、コーラム、コーチ、トリシュール、およびコーリコードでボトル水プロジェクトを開始することを指示する行政命令を発した。ボトル水プロジェクトは、第1フェーズとしてまずこれら5都市で実施されることになるが、州水資源省では、同様のプロジェクトを最終的には全自治体に導入することを計画している。
この最新の行政命令には、つぎのようなくだりがある。「安全なボトル飲料水が妥当な価格で一般州民の手にはいるようにするのは、特に多国籍企業の製品が生産コストをはるかに上回る高価格にもかかわらず市場のかなりの部分を支配するシナリオを想定した場合、必要不可欠なことといえる」

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