中国北西部の甘粛省蘭州市で、Veolia Environnementの現地合弁会社、Lanzhou Veolia Water Company(蘭州市威立雅水務集団公司)が供給している水道水が発癌性物質で汚染されていた問題で、同社のYao Xin会長が記者会見で謝罪した。
謝罪までの経緯
汚染が見つかったのは2014年4月10日のことで、蘭州市でLanzhou Veoliaが供給している水道水から、発癌性物質であるベンゼンが検出され、人口360万の同市は、ある地区の水道水供給を全面的に停止することを余儀なくされた。他の地区の住民にも、まる1日は水道水を飲まないよう警告が出された。
翌週、中国政府は、水質の維持を怠ったとしてVeoliaを非難した。これに対しVeoliaは、水道水をベンゼンで汚染したことの責任は同社にはないとの見解を表明した。
蘭州市主催の記者会見で謝罪
2014年4月22日になってLanzhou VeoliaのYao Xin会長は、蘭州市主催の記者会見で頭を下げ、謝罪を表明した。このなかでYao会長は謝罪が遅れた理由について、「自分も含めてスタッフ全員が、汚染の原因究明と新たな配水管路の敷設に全力であたっていたため」であると述べた。
Yao会長の謝罪について、香港に本社を置くVeolia Water Chinaの広報担当、Justine Shuiは、「顧客に不自由をもたらしたことで現地合弁会社の会長が謝罪するのは、ごくあたりまえのことだ」というコメントを発表している。Shuiはまた、現地合弁会社であるLanzhou Veoliaは「ベンゼンの製造も貯蔵もしておらず、水道水を汚染したベンゼンがどこからのものかを中国当局がつきとめてくれることを全面的に信じている」と述べた。
原因はパイプラインからの原油漏出か
中国政府はすでに、蘭州市の水道水のベンゼン汚染は、国営のChina National Petroleum Corporation(CNPC:中国石油天然気集団公司)の一部門が所有するパイプラインからの原油の漏出が原因であるとの見かたを示している。現在、蘭州市の水道水供給は正常に復している。
CNPCへの捜査がはじまったかどうかについては、政府はまだ明らかにしていない。CNPCの一部門で上場企業であるPetroChina(中国石油天然気)は、原油漏出は同社の責任であるという報道を否定している。
蘭州市は甘粛省の重工業都市で、中国で公害の被害人口が最も多い都市のひとつに数えられている。
中国の国営メディアは以前に増して外国企業の欠点をあげつらう傾向にあるが、そうしたさなかに今回の事件は起きた。政府と国営メディアはこれまでも多くの企業を、価格の設定から製品の品質や顧客サービスにいたるまで、さまざまな難点をとりあげて非難してきた。
なお、Lanzhou Veolia Water Co.の株式は、蘭州市が過半数を保有し、Veolia Water Chinaが45%を保有している。