2014年4月15日、米国General Electric(本社:米国コネチカット州)とサウジアラビアの国営石油会社Saudi Aramco社(本社:サウジアラビア、ダーラン)は海水淡水化のエネルギー効率の向上を後押しするべく、賞金20万USドル(約2040万円)の技術コンテストを実施すると発表した。これは技術とプロセスのいずれかまたは双方の改善を通じて海水淡水化にかかるコストを低減する新規な方法を見出すことを目標として開催されるものである。
先端材料の採用、プロセスの統合による海水淡水化のコストダウンを目指す
コンテストを主催するのはGEのエネルギー効率の向上を軸とした環境イニシアチブであるエコマジネーション(Ecomagination)とAramcoのアントレプレナーシップ(起業家精神)センターである。賞金は4人の受賞者の間で均等に分けられ、最高のアイディアを追究するために追加の資金が利用できる。
コンテストが目指すのは、よりクリーンなエネルギーを採用し、先端材料を取り込み、プロセスの統合を進めることで、海水淡水化にかかる費用とエネルギーをトータルで低減する新しいソリューションを見出すことである。ソリューションは革新的で影響力が大きく、実用的で、世界中で適応できるスケーラブルなものでなくてはならない。「このチャレンジを通じて、我々は世界中の研究者やエンジニア、起業家、発明家を触発し、彼らの才能をこの取り組みに呼び込みたいと思っています。そして、顧客に対しより優れた成果を提供する一助としたいのです」とGEのグローバル事業担当執行役員のDeb Frodl氏は述べた。両社によれば、現在の海水淡水化技術ではそのコストの最大70%をエネルギーコストが占めているという。
Aramco アントレプレナーシップセンターで、スペシャルプロジェクトのdirectorを務めるNabil Al Khowaiter所長は次のように語った。「深刻さを増す水不足により、世界中の国々は海水淡水化への依存度をさらに深めていくでしょう。現在の技術では、こうした依存度の高まりは、エネルギー使用量の爆発的な増加を招いてしまいます」Al Khowaiter氏はまた、コンテストにより、新たな技術および産業をサウジアラビアに呼び込めることを期待すると付け加えた。
高まる淡水需要を受け、海水淡水化のコストとエネルギー消費量の低減が急務
現在、海水からの淡水製造のため、世界で年間およそ75.2 TWhの電力を使用しており、これはおよそ700万世帯が使用する電力量に相当する。国連の2014年世界水発展報告書によれば、サウジアラビアでは国内の石油・ガス製造の25%を発電・海水淡水化コジェネレーションプラントを介した水の生産のために使用しており、このままいけばこの数字は2030年までに50 %に達するという。さらに報告書には、クウェートの海水淡水化プラントのエネルギー需要について、現在の傾向が続いた場合、2035年には2011~2012年に石油生産のために国内で消費したエネルギーと同等の水準に達するとの予測が示されている。
UAE、再生可能エネルギーを使用する海水淡水化プラント建設に進展
一方で、アブダビのクリーンエネルギー会社であるアブダビ未来エネルギー公社(通称マスダール社)は、すでに再生可能エネルギーを動力源とするUAE初の大規模な水海水淡水化プラントの建設計画を発表している。同社はすでに2015年末まで操業する3つの試験的プロジェクトの技術パートナーを確保しており、その後実際のプラントの建設を行うという。