中国・国家海洋局海洋科学技術司は、2014年8月8日、『2013年全国海水利用報告』(以下、本報告)を公表した。本報告は、2013年までの中国における海水淡水化、海水の直接利用、海水中の資源利用、および政策と管理の状況をまとめたものである。
本報告によると、全国における海水淡水化プラントの全体的な規模は拡大を続けていることが分かった。2013年末までに、全国で103の海水淡水化プラントが建設され、総処理容量は日量90万800トンに達し(下図)、その中でも最大の海水淡水化プラントの処理規模は日量20万トンに達している。
図 海水淡水化による造水量の推移
2013年には8のプラントが新設され、それらの合計の処理能力は1日当たり12万5500トンである。造水1トン当たりのコストは5~8元で、採用されている技術としては逆浸透膜法および低温蒸発法が主流となっている。そのほか、新たに海水利用関連基準14項目が公布され、その内訳は国家基準2項目および業界基準12項目となっている。
海水淡水化プラントは9つの省および市に分布しており、主に水資源が不足している沿海都市と海島に集まっている。淡水化によって造られた水は北部の工業用水として使わており、天津市、河北省、山東省などの発電および鉄鋼業などの水の消費量が多い業種に集中している。いっぽう南部では、主に海島における生活用水として使われており、淅江省、福建省、海南などの地域に分布し、規模としては数百トンまた数千トンのプロジェクトが多い。全国における用途ごとの割合は下図の通りで、生活用水は約3割で残りは工業用水として利用されており、最も多いのが火力発電での使用である。
図 海水淡水化プラントにて生産された水の用途
そのほか、海水の直接利用に関しては、沿海火力発電、石油化学、原子力発電などの業界では、海水を工業冷却水として使用しており、その使用量は毎年増加している。2013年末までに、冷却水として使用された海水は883億トンで、そのうち2013年に新たに使われた量は42億トンであった。
海水中の資源利用の面では、製塩のほか、海水からのカリウム、マグネシウム、臭素などの有用資源回収も比較的速いスピードで発展している。海水淡水化プラント規模の拡大とともに、海水の総合利用技術もますます注目されている。