オランダの飲料水、医薬品など新たな物質の脅威に直面――政策文書で注意を喚起

オランダ政府は2014年4月25日、Schultz van Haegen環境大臣が提出していた『飲料水政策文書―今日と今後のきれいな水(Schoon drinkwater voor nu en later)』を閣議了解した。同文書は2011年飲料水法に基づき、6年に1度更新されることになっている。今回初めて、州、市町村、水会社、民間団体の協力を得て策定された(以下のリンクに、飲料水政策文書の原文掲載)。
http://www.rijksoverheid.nl/bestanden/documenten-en-publicaties/rapporten/2014/04/25/beleidsnota-drinkwater-schoon-drinkwater-voor-nu-en-later/beleidsnota-drinkwater-schoon-drinkwater-voor-nu-en-later.pdf

オランダ政府によると、飲料水供給の持続的な確保は、まさに国家の安全保障問題である。水の地政学的な重要性が今後いっそう高まってくる、と政府は予想している。同国では、飲料水の供給は下級当局と飲料水会社の責任であるが、飲料水供給システム全体に責任を負っているのは国である。今回の政策文書をあらましは次のとおりである。

(1)   オランダの飲料水の品質は非常に高く、しかも生産価格が安い。飲料水の生産は効率的で、環境にも配慮されている。

(2)   しかし飲料水の品質が、圧力にさらされるようになっている。とりわけ医薬品や化粧品からの新たな物質、農薬、硝酸塩、気候変動、地下水をめぐる競争などである。

(3)   このため飲料水源を守りつつ、より経済的に飲料水を扱うよう、改めて注意を喚起しなければならない。化学物質の相互作用や、抗生物質耐性菌などの新たな脅威について、新たな知見を得る必要がある。

(4)   政府は今後、水質への要求事項を厳しくするとともに、水質汚染防止の評価枠組みを整備する考えである。

(5)   レジオネラ菌や鉛が飲料水に入り込むのを防止する措置が新たに必要かどうか、政府は2016年までに判断する。

(6)   政府は、上水道網や下水処理施設のための投資を増やす必要がある。

(7)   政府は飲料水供給に関して、飲料水法に基づき行政機関がどのような注意義務を負うのか、はっきり明確化する必要がある。

(8)   水消費者の高い信頼を得るため、環境を意識して飲料水を扱っていることや、不確実な事柄を減らしていることを、もっと透明なかたちで伝えることが大事である。

以上の政策文書の内容を踏まえ、オランダの飲料水会社は、国連の2015年以降の新「持続可能な開発目標」の実現に貢献していく。これには、ユニバーサルな飲料水アクセスや、公衆衛生施設に関する目標も盛り込まれる、と予想されている。

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