2014年6月29日に報じられたところによると、イエメンが同国初となる海水淡水化プラントを建設するという。この3億ドル(約306億円)規模のプロジェクトは同国の天然水資源が危険なレベルまで枯渇する中、高まる水需要に対応するものである。
アラブ地域で最も深酷な水不足、国民1人が使用できる水は年間140m3
イエメン水・環境省のAbdulsalam Razzaz大臣によれば、イエメンは「アラブ地域で最も深酷な水不足」に苦しんでいるという。その背景には同国の人口増加率の高まりに加えて降雨の少なさがあり、現在の状況が続けば同国は近々、水の供給を維持できなくなると大臣は語る。イエメン国民が使用できる水の量は、1人あたり年間わずか140 m3である(中東地域の平均は年間1人あたり約1000 m3)。Razzaz大臣は、「わが国が置かれているこの危うい状況は、イエメンが地下水を飲用水の他、農業や工業にも使用している世界唯一の国であるということを考慮して初めて理解されるものでしょう」と説明する。このことがイエメンの地下水資源の枯渇をより深酷なものとしてきたが、地下水の貯留量を元に戻すことは容易ではない。
専門家らはこれまで、イエメンの水資源をめぐる状況について、すでに安全に引き返せる地点を過ぎてしまっていると警鐘を鳴らしてきた。こうした状況下、Razzaz大臣は、海水淡水化はイエメンにのみならず、中東地域全体、ひいてはプロジェクトのパートナーにもメリットがある完璧なソリューションであると語る。
サウジアラビア開発基金との間で資金調達契約を間もなく締結
Razzaz大臣によれば、このプロジェクトの資金調達について、サウジアラビア開発基金(Saudi Fund for Development)との間で間もなく契約を締結すると述べた。この淡水化プラントから水が供給される地域は、タイズ、ラーェジ、アデンおよびイッブになるという。さらに今後10年以内にこの海水淡水化プラントは、同国の首都サナアにも給水を開始すると見られている。