ドイツのジャーマンウォーターパートナーシップ(GWP)が2014年10月、『水部門の能力開発ガイドライン』を発行した(以下のリンクに、ガイドラインの英語版掲載)。
http://www.germanwaterpartnership.de/fileadmin/pdfs/gwp_materialien/gwp-broschuere_skill_development_in_the_water_sector.pdf
GWPによると、世界の多くの国では、水道部門と公衆衛生部門で、業務説明書(job profiles)や職業資格制度がそもそも存在しない。水産業に従事する専門家のための特別な訓練を実施していない国々では、配管工や電気技師など、関連産業の熟練工や半熟練工を水産業で横滑り雇用するため研修を実施したり、技能向上の場を提供することが多い。
GWP職業訓練作業部会は、そのような国にドイツの効率的な訓練プログラムを提供すべく、水・公衆衛生部門向けの基本的な業務説明書の内容を明確化する作業に取り組んだ。まず、工業用水サイクルのあらゆる技術的な業務を網羅する約30種の業務を特定した。
GWPは、これら業務を次の中核事業にグループ化した。
- 水の回収と浄化
- 水の供給
- 下水の搬送
- 下水の処理
- 業務横断的な品質保証
たとえば「漏水検知」業務は、中核事業の「水の供給」に属する。「水の供給」の業務説明は次のとおりである。
- ポンプ系の運転保守
- 水貯蔵タンクや貯水池の運転保守
- 配水システムの運転保守
- サービス接続の管理
- 水道量水器の管理
- 運搬式の給水設備
このように業務の定義を明確にしたうえで、GWPはドイツで運用されている以下3つの規格を諸外国の水部門の現場でも運用し、ソフト面の支援も充実させることとした。
a. 助言的ガイドラインDWA-M 1000(廃水処理場運転者の資格認定と組織に関する規則)
b. 助言的ガイドラインATV-M 271(自治体下水処理場の運転のための人的要求事項)
c. 規格DWA-A 199(廃水系担当者のための業務運営指示書)
GWPによると、これら文書にのっとり、進出国現地の水産業関係者の人材能力開発を進め、最後には試験を実施して能力の達成度を確認し、合格なら資格を与える。試験の実施方法は、本ガイドラインの最後部分に詳しく記載されている。