ドイツ連邦環境省は2014年12月、液体廃棄物、下水、工業廃水等のイノベーティブなリサイクル施設の建設計画への国庫補助案件を、次のとおり2件決定した。いずれも、同省の運営する≪環境イノベーションプログラム≫から予算を支出する。ドイツ連邦政府は1979年から、さまざまな分野の実証的な性格をもつ、環境負担を減らすためのイノベーティブなテクノロジーに対し国庫補助を行い、技術の実用化を後押ししている。なお、研究開発は国庫補助の対象にならない。
イノベーティブな液体廃棄物・下水リサイクル施設
国庫補助額は約370万ユーロ(約5億2000万円)で、処理済み下水の最大2割を再利用できる。運営会社はGSリサイクル社で、ノルトライン・ヴェストファーレン州ヴェーゼルのリッペ・ミュンドゥングスラウムという場所に設置する。ドイツで初めて、イノベ-ティブテクノロジーを大規模に活用する実証型のプロジェクトである。商業・工業廃水のほか、船舶洗浄による港湾排水も処理できる。排出源の異なる広範な下水を効率的に処理できるようにするため、さまざまな水処理技術をイノベーティブに組み合わせている。まず、沈殿法と凝集濾過法、下水蒸発法、ストリッピング法など、さまざまな化学的物理的な処理技術を組み合わせて活用する。次に、生物処理法で後処理をする。新施設では、下水の有害物質汚染を大幅に減らして、排水令の現行基準値を下回るようにする。プロジェクトの概要が、以下のリンクにある。
http://www.umweltinnovationsprogramm.de/sites/default/files/benutzer/36/dokumente/internetbeitrag_gs_recycling_gmbh.pdf
イノベーティブなモジュラー型工業廃水浄化施設
国庫補助額は約500万ユーロ(約70億円)で、ヘッセン州ヒュンフェルトのホーホヴァルト・フーズ社が運営する。こちらも、ドイツで初めて、イノベ-ティブテクノロジーを大規模に活用する実証型のプロジェクトとなる。この新たな施設では、処理廃水の塩分濃度を法的要求条件より大幅に下回るようにするとともに、リンを回収し肥料として農業生産で活用するだけでなく、バイオガスからエネルギーを生産することも予定している。こうした取り組みは、企業にとって有益であるのみならず、河川を保全し、資源の回収することになる。本件に関する連邦環境省のプレスリリースが、以下のリンクにある。
http://www.bmub.bund.de/presse/pressemitteilungen/pm/artikel/innovative-abwasserreinigungsanlage-schuetzt-ressourcen-und-gewaesser/?tx_ttnews[backPid]=103&cHash=469ba387653c7acda4adbe99e3243995