2015年1月に報じられたところによると、現在、ミャンマーの最大都市ヤンゴンにおいて、住民の3人に1人はまだ都市の水道水にアクセスすることができていない。ヤンゴン市開発委員会(YCDC)の衛星部門担当者によると、ヤンゴンの総人口520万人のうち水道にアクセスできない170万人の人々は、自ら水源を探さなければならず、その中には、井戸を掘る住民もいれば、またヤンゴン川沿いのセイッチーカナウント市やダラ市やチーミンダイン管区の村などの住民のように、パイプによって湖から水を取水している者も存在するという。
2014年に行われた国勢調査によると、ヤンゴンの人口は520万人であり、そのうちの3人に1人、すなわち、170万人が水道にアクセスできていない。YCDCのデータによると毎日2億ガロン(9億1000万リットル)の水道水が同市では供給されているが、安定した水の供給が保証できないため、YCDCは一部地域への水の供給を一時的に停止していたという。当局者は、「いくつかの地域は、既存の水道ネットワークから離れたところに位置しており、非常に少量の水しか得られていない。水を使う住宅が増えるのに連れ、利用できる水の量も少なくなってきている」と語っている。
また、この当局者によると、井戸に頼ることも持続可能な選択肢ではないという。というのも、地下水面が低くなれば、塩水が浸入し、地下水が飲めなくなるからである。たとえば、ガモーイェク川沿いの場所は、その恐れがあり、被圧地下水を利用するアルトワ式の掘り抜き井戸を長期的に利用することは難しいという。
住居開発の専門家は、井戸水の供給はあくまで一時的な手段であり、最終的には都市水道が必要であるとの見解を示している。また、ミャンマー建設業協会副会長のタエー氏も、掘り抜き井戸に長期にわたって依存することはリスクが高いことを認めており、過度な使用に対して警笛を鳴らしている。
YCDC衛生部門の担当者によると、YCDCは水の供給量を増やすために、ラグンピン浄水プラントの開発を行っている。本プラントの完成は2018年以降になる見込みだが、新たな浄水プラントの完成によって現在ヤンゴン市が抱えている水問題は緩和されるものと期待されている。さらにYCDCは、クッコグヮ川やトー川からの水を浄化し、ヤンゴン市内にあらゆる方向から水を供給する計画も策定している。いっぽうで、供給を増やすことは、様々な解決策の一つに過ぎない。専門家によると、現在、ヤンゴンでは浄水の半分が漏水によって失われており、同専門家は、新たな水源をより漏水率を最小限に抑制するほうが重要だと指摘している。衛生部門は、すでに漏水を抑えるための長期的な計画を策定しており、技術援助や資金面の問題についても合意されているという。