ラテンアメリカでのインフラ事業への官民連携(PPP)投資環境の最新動向

米州開発銀行の多国間投資基金(FOMIN)の報告書「Infrascopio 2014」によると、ラテンアメリカ・カリブ諸国におけるインフラ事業への官民連携(PPP)による投資環境は、近年特にチリ、ブラジル、ペルー、メキシコ、コロンビアで改善している。

Infrascopioは、輸送、エネルギー、上下水整備、通信における投資環境を、国別に、法制面(25%)、政府機関のパフォーマンス(20%)、オペレーションの成熟度(15%)、投資環境(15%)、融資へのアクセス(15%)の指標配分で評価したもので、2014年のランキングは、上位1~5位が、チリ(76.6ポイント)、ブラジル(75.4ポイント)、ペルー(70.5ポイント)、メキシコ(67.8ポイント)、コロンビア(61.0ポイント)となっている。尚最下位はベネズエラで、3.2ポイント。

ブラジルでは、PPPプロジェクトは3分の1がミナスジェライス州、バイア州、サンパウロ州に集中しており、都市別ではリオデジャネイロ、ベロオリゾンテ、サンパウロが最も多い。これらの州の2006年から2014年のプロジェクト数は、上下水プロジェクトが16件と最も多く、固形廃棄物処理10件、医療設備9件がそれに続いている。

ホンジュラスでは、ランキングでは第11位(37.7ポイント)だが、上下水部門はAPP投資の焦点となっている。政府は、現在国営の、上下水道サービス会社のコンセッション提供を表明しており、地方レベルでも、3000万米ドルのプロジェクトとなるテラ市の上下水道サービスのコンセッションを提供している。しかし多数の住民を対象とするプロジェクトであり、国民の支持を得られる可能性がある一方で、APPにより何らかのコンフリクトが発生した場合は、APP解消にもなりかねない。

上下水部門へのAPP開放状況に関しては、ペルーでは、1996年より道路、上下水、空港部門へ民間資本参入が出来るようになっており、2008年の政令No.29230で、APP導入対象が、運輸、エネルギー、通信、上下水、社会インフラ、住宅、観光プロジェクトなどのインフラや公共サービスなど広範にわたるようになっている。ウルグアイでは、再生可能エネルギーによる発電へは民間投資が出来るようになっているが、現状民間の参入はない。政府は運輸分野へのAPP導入意欲はあるが、上下水部門には進んでいない。チリでは、飲料水供給や下水処理は1997年から、各地方の企業への民営化が始まり、2000年以降は都市部のサービスの99%は民間企業により行われている。

報告書 Infrascopio 2014は、以下のサイトよりダウンロード可能。
http://idbdocs.iadb.org/wsdocs/getDocument.aspx?DOCNUM=39560897

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