2015年8月3日に現地で報じられたところによると、公営住宅における水道水からの鉛検出が相次ぐ香港で、新たに3箇所の公営住宅から高濃度の鉛が検出された。同日行われた記者会見において、運輸住宅長官のAnthony Cheung Bing-leung氏は「我々は事態が制御不能に至ったとは考えていない」とコメントした上で、「統一的なパターンは存在しない」と述べ、建設業者を問わずあらゆる物件から鉛が検出される可能性があることを示唆した。
検出された鉛濃度はWHOの基準値の4倍超
香港では7月上旬、九龍市の啟晴公園団地で水道水から鉛が検出されたのを皮切りに、大規模公営住宅における水道水からの鉛の検出が相次ぎ、香港全土にわたる騒動となっている。今回、政府の検査により鉛が検出されたのは次の3箇所である。
- 石硤尾公営住宅(フェーズII): 深水埗区
- 東匯公営住宅:黃大仙区
- 紅磡公営住宅(フェーズII):九龍市
このうち、紅磡公営住宅で採取された水道水からは、44.4 mg/lの鉛が検出された。世界保健機関(WHO)が定めた飲料水の鉛含有量基準は10 mg/l未満である。7月に鉛が検出された葵聯公営住宅では、住民を対象として血液検査が行われ、294名の住民のうち33名の血液サンプルから通常より高い濃度の鉛が検出された。そのうち24名は6歳未満の子ども、8名が授乳中の母親、そして1名が妊娠中の女性だった。また啟晴公営住宅では、314名の住民のうち23名から通常より高い鉛濃度が検出されている。
検査を受けられる子どもの年齢制限を6歳から8歳に引き上げ
食物衛生局長のKo Wing-man氏は、検査対象となる子どもについて、その年齢上限を6歳から8歳へと引き上げたと語った。「子どもが6歳になる前に引っ越してきたことを心配している保護者もいることから、我々はこの問題の対応に慎重を期しています」と述べた同氏氏は、今後さらに多くの公営住宅において検査を実施していく必要があり、これ以上年齢制限を引き上げることは出来ないと語った。「これ以上年齢制限を引き上げた場合、鉛に対してより脆弱な6歳未満の子どもの検査機会を逼迫する可能性があるのです」