2015年10月20日に現地で報じられたところによると、かねてより高い無収水率が問題となっているマレーシアでは、無収水の削減に進展が見られないとして国家水サービス委員会(SPAN)*1が関係者に一層の取り組みを呼びかけた。同国は2020年までに無収水を25%削減するという目標を掲げている。
国全体で33.6%、クランタン州では52.1 %に達する無収水率
SPANのCEOを努めるMohd Ridhuan Ismail氏はこの日、SPANが主催した配管工事請負業者のためのセミナー(会場:クランタン州文化芸術局)に登壇し、無収水は配水システムの完全性を高めることで減らすことができると説明した上で、次のように語った。「2015年3月時点で、マレーシア半島およびラブアン連邦直轄領では処理した水の33.6 %が失われています。クランタン州の無収水の割合は52.1 %にもおよび、これは1日に2億3400万リットルの水が失われている計算です」また、セミナーにはマレーシア建設アカデミー(ABM)の東岸地域の運営責任者であるMaliki Endut氏、および州営水道会社Air Kelantan社のgeneral manager を努めるMohamad Mahmud氏も出席した。
なお、2014年時点での各州の無収水率は下図の通りである。最大でプルリス州の55.8%、最少でペナン州の18.3%となっている。
図 マレーシアの各州における2014年の無収水率(単位:%)
(出典:マレーシア国家水サービス委員会のHPよりEnviX作成)
原因に低品質の配管製品と配管工事の仕様不適合
Mohd Ridhuan氏は、第11次マレーシア計画(RMK-11、対象期間は2016~2020年)の下、政府は全国で無収水を25%削減するとの目標を達成するべく今後もこの問題に重点的に取り組んでいくと述べた。併せて、これまで無収水対策に進展が見られないことから、大事なことはメーカーや外注先、配管工事請負業者を含むすべての当事者が、無収水の問題を解決する上での自らの役割と責任を理解することだと指摘した。さらに、無収水の主要な要因として、品質の低い配管製品を使用していること、そして工事が定められた仕様に従っていないことを挙げた。「SPANは今回、配管工事の性能と品質を向上させるためにこのセミナーを開催しました。配管工事業者は、建設業、中でも上下水道サービスのサービスチェーンにおいてはとりわけ重要な役割を果たす存在なのです」 と彼は語った。
200名あまりが参加したこのセミナーでは、あわせて「2006年水サービス産業法(法律第655号)」を遵守する重要性が強調された。
*1 マレーシア半島およびラブアン連邦直轄領における上下水道サービスの規制機関(技術面、財政面を含む)。