米EPA、水再利用と水資源節約の研究に330万ドルを補助

米環境保護庁(EPA)は2016年3月22日、水再利用と水資源節約が人の健康と生態系におよぼす影響をテーマとした5つの研究に計330万ドル(約3億7000万円)を補助することを明らかにした。この補助金は、EPAの「成果をめざす科学」(STAR)プログラムを通して支給される。

水再利用と水資源節約は近年ますます重要度を増しつつある。特に米西部では、気候変動、極端な渇水、人口増などの要因により、利用できる水の量が減ってきており、この重要性はきわめて大きい。今回補助金をうけることになった研究は、持続可能な水再利用の推進の一助にすべく、飲用、地下水補充、灌漑などへの再生処理水の利用が人の健康と生態系におよぼす影響を評価するものである。

補助対象研究機関とテーマ

今回、STARプログラムによる補助の対象となった研究機関と研究テーマは以下のとおりである。

  • 米水環境研究基金(WERF):汚染物質のホットスポットの特定、ホットスポットが人の健康と生態系におよぼす影響の評価、および水再利用と管理のソリューションの影響の定量化。
  • イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校:適応型UVと太陽光ベースの殺菌システムがどのように廃水中の病原性ウイルスの残留量を減らして持続可能な再利用に適したものにするかを理解するための新たな枠組の開発。
  • ユタ州立大学:乾燥した西部都市圏の生態系における新たな水供給源としての帯水層涵養管理による雨水利用の影響とメリットの評価。
  • ネバダ大学ラスベガス校:米国における間接および直接飲料水化システムの、微生物リスクの定量化と持続可能性の比較。
  • カリフォルニア大学リバーサイド校:処理済み下水で灌漑される野菜等の食用作物における新たな懸念汚染物質の濃度測定とヒト経口曝露の評価。

なお、各研究の詳しい内容とそれぞれの補助金額については以下のURLを参照されたい。
https://cfpub.epa.gov/ncer_abstracts/index.cfm/fuseaction/recipients.display/rfa_id/591/records_per_page/ALL

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