情報筋によると、中国の「土壌環境保護行動計画」(以下、「土十条」)が、2016年内に公表される見込みである。国務院の要求にあわせて、「土十条」には重金属の重度汚染区域、改善への資金投入、改善の具体策などの内容が盛り込まれている。土壌管理・総合改善のための重要な計画として、「土十条」は農業用地および建設用地に分けて土壌の管理・保護を行う方針を打ち出すとともに、土壌汚染改善の責任および任務を地方政府・企業に割り当て、2020年までに土壌質の劣化を抑制するべく努力させる。なお、「土十条」の策定は中国環境保護部の2015年の重点作業とされており、2015年6月にすでに環境保護部から国務院に提出され、2015年末あるいは2016年初めにも公表される見込みであったが、2016年3月現在、まだ公布されていない。
巨大な土壌修復市場への期待
「土十条」の策定者らは、土地収益の10%を土壌浄化および土壌質改善に使用するよう提案している。10%の土地収益および政府資本・社会資本をもとに試算すると、毎年土壌汚染対策に1500億~2000億元(約3~4兆円)が投入されることになる。
さらに、中国政府は一連の奨励策を策定し、土壌汚染改善の分野における社会資本との提携を促進し規範化させ、逐次社会資本を全面的に開放する。その後で社会資本を土壌汚染改善の分野に投資する奨励策を策定する方針であり、これには財政・税収・特恵ローンなどが盛り込まれる見込み。関係者によれば、「土十条」の実施によって中・長期的に5兆7000億元(約114兆円)以上の投資が生まれるものと見込まれている。なお、2010年には中国では土壌修復企業が十数社しかなかったが、2016年現在、少なくとも500社以上の企業が土壌修復ビジネス市場に参入している。
中国政府は、「環境汚染に対する第三者治理の促進に関する意見」および「基礎施設および公共事業特許経営管理弁法」などの法規制を公布したことにより、社会資本が生態環境保護分野のプロジェクト建設、運営および管理に参入することを促進し、環境などの基礎施設および公共事業分野で特許経営を展開している。