Veoliaは、2016年7月28日、アジア最大級の石油精製業者である中国石油化工集団公司(Sinopec)より、北京から50kmに位置する燕山石油化学コンビナート(Yanshan petrochemical complex)の水サイクル全体の管理を受注したことを発表した。契約期間は25年であり、この契約によるVeolia社の売上は37億7000万ユーロと見積られている。また、この契約の履行に特化した中仏の合弁事業により、800人以上の雇用創出が見込まれている。
燕山石油化学はSinopecの完全子会社であり、その燕山石油化学コンビナートは合成ゴム、合成樹脂、フェノール、アセトン及び高品質の精製油製品の中国最大の製造拠点の1つである。同コンビナートでは年間を通して1000万トンの原油が処理され、80万トンのエチレンが生産されており、431のグレードの94品種の石油化学製品が製造されている。
Veolia社と燕山石油化学は、これまでの協力関係*1で培われた相互信頼に基づき、パートナーシップの範囲を燕山石油化学コンビナートにおける脱塩水、冷却水、工業用水、飲用水、冷水(チルドウォーター)、廃水、消防用水を含む水サイクル管理全体に拡張することを決定した。今般の契約の下、Veolia社はサイト内における水消費を最適化し、水のリサイクル率を増加させる。その直接的な効果は、同コンビナートにおける水(の消費量の節減、すなわちウォーターフットプリントの削減となって現れる。
Veolia社はまた、同コンビナートの廃水処理施設を改良し、世界で最も厳格な北京エリアの最新の排水基準に適合させる。同社はさらに、サイト内のすべての水生産施設を対象とするエネルギー最適化プログラムを実施する予定である。その結果、同コンビナートにおける水生産に伴うエネルギー消費量を節減することができ、カーボンフットプリントが削減される。
現在、中国に14200人の人員を擁し、40都市で約60の契約に従事しているVeolia社であるが、同社のアントワーヌ・フレロ(Antoine Frérot)会長兼最高経営責任者(CEO)は、今般の契約に関する仏経済紙レ・ゼコーのインタビューに答えて、主に次のような点を強調している。
- 燕山石油化学コンビナートにおける水サイクル管理事業は、他の中国企業にVeolia社のノウハウをアピールする好機である。
- 同コンビナートでは、18万m3/時の水が冷却水として使用されている。この水を最大限にリサイクル、リユースすることにより、燕山石油化学の親会社であるSinopecは、年間2300万ユーロ相当のエネルギー関連コストを節減することができる。
*1 Veoliaと燕山石油化学は2006年に、廃水処理に関する最初のパートナーシップを締結した。