ポルトガル環境庁長官Carlos Martin氏は2016年5月31日、国家水計画(PNA)が2016年6月8日に内閣で承認予定であると発表した。同日に、大陸部・アゾレス諸島水域管理計画および洪水リスク管理計画も承認される予定である。これに伴い、洪水等のリスクを回避するために、資源利用持続可能効率性運営プログラム(PO SEUR)から5000万ユーロ(約59億円)が融資される。
PNAは包括的な水管理の国家戦略を定めており、初回の計画は、1994年2月22日付政令45/94で定めた法的枠組み内で策定された2002年4月17日付政令112/2002により制定され、水資源のバランスの取れた合理的な管理の実施を目的としている。その後、2012年6月22日付政令130/2012により、2016年~2021年向けの水域管理計画(PGRH)や関連するプログラム、また2022年~2027年の政策の大まかな方針が盛り込まれた暫定版が策定された。
最新版のPNAの概要は以下のとおりである。
- 第1部:現状分析と実施されている対策
- 第2部:主な問題点と予測
- 第3部:2021年~2027年の戦略目標
- 全ての水域の良質な状態を保証する
- 人、経済活動、生態系にとって持続可能な水の利用を確約する
- 水の利用の効率性を高める
- 自然の資産の保護を通じて、生態系を保護し、再生する
- 気候変動や天災等に係るリスクを最小化し、水域の回復力や適応性を高める
- 第4部:対策の要約
- 流域や植生の再生計画
- 水産産業からの汚染の削減計画
- テージョ河の環境の質の保護計画
- 上下水道サービスに関する計画
- 沿岸地域の保護と評価
- 対策の優先度の高い汚染物質に関する計画
- 第5部:促進と評価モデル
2016年5月31日には、水道会社EPALが主催する「水セクターにおけるリスク管理と気候変動」という研修会がリスボンで実施される。Martins氏は、「政府は水にまつわる現状についてよく把握している。同イベントが気候変動の中で展開される政策に沿ったものだという理解でいる」と述べた。
2015年6月時点のPNAは、以下のURLより参照可能(ポルトガル語)。
http://www.apambiente.pt/_zdata/Politicas/Agua/PlaneamentoeGestao/PNA/2015/PNA2015.pdf