General Electric(GE)(本社:マサチューセッツ州ボストン)は2016年9月8日、同社の嫌気性消化ソリューションを北米で提供するにあたってHayward Gordon(本社:カナダのオンタリオ州ジョージタウン)をプロセス・サポートとミキシング・ノズルの独占サプライヤーにすることで両社が合意したことを明らかにした。この合意により、GEは嫌気性消化タンク、汚泥保持タンク、およびその他多くの廃水ミキシング関連の用途にノズル式ミキシング・ソリューションを提供することが可能になる。両社の技術を合わせたこのノズル式ミキシング・ソリューションを、Hayward Gordonが先頭に立って、同社が北米ですでに構築している充実した販売ネットワークを活用して提供していく。
今回の提携について、Hayward GordonのGraham Hicks製品担当部長はこう述べている。「GEは、浄水、廃水処理、水再利用、それにプロセス・システム・ソリューションの分野で、世界的トップ・サプライヤーのひとつだ。Hayward Gordonは、下水処理および産業廃水処理市場向けのポンプ・ソリューションとミキシング・ソリューションでは業界のトップ・クラスに位置している。両社が力を合わすことにより、北米におけるノズル・ミキシング・システムの販売に大きく弾みをつけることができる」
Hayward Gordonのミキシング・システム
Hayward GordonのHydroMixシステムは、水平方向の複数のノズルと角度調節された複数の垂直ノズルを高精度に配置したきわめて効果的な流体ミキシング・システムである。こうした設計により、円周方向の流れのパターンばかりでなく、さらに重要なことに、最適なミキシングには欠かすことのできない上から下へのじゅうぶんな動きが生じる。また、信頼性の高いポンピング、汚泥調質、およびノズル詰まりの解消がHayward GordonのCHOPXシリーズ・チョッパー・ポンプによっておこなわれる。このシリーズのチョッパー・ポンプは、北米全体を通してノズル式ミキシングのさまざまな用途ですぐれた実績をのこしている。この方式のミキシングでは、タンク内に可動部を必要としないため、メンテナンスその他の不稼働時間を大幅に短縮することができる。
Monsal買収の効果をさらに高める今回の提携
GEは2014年7月1日、浄水、廃水処理、高度嫌気性消化、およびバイオガスの総合的エネルギー利用を専門とするイギリスのMonsalを買収した*1。この買収により、GEは廃水処理関連の製品を拡充するとともに、廃水処理の省エネ化に向けた取組をさらに進めることができた。また、GEはMonsalを通してノズル式ミキシングの専門的知見を蓄積し、これまでにイギリスにおいておよそ300の嫌気性消化設備をユーティリティに提供している。今回の提携は、こうしたGEの専門的知見と、ポンピングとミキシングにかけては各応用分野に完全なソリューションを提供することのできるHayward Gordonの豊富な経験とを結びつけるものである。この提携により、Hayward GordonもGEも、北米全体への設備提供のチャンスをひろげていくことができるだろう。
今回の提携について、GE PowerのWater & Process Technologies部門でエンジニアード・システムのグローバル・リーダーを務めるKevin Cassidyはこう述べている。「GEはエネルギー・ニュートラリティという目標を掲げて、自治体やメーカーらが廃水処理の副生物を処分するのでなく、そこから再生可能エネルギーなどの価値を生み出すことができるよう手助けをしてきた。そこでキーとなるのが嫌気性消化の技術だ。GEがHayward GordonのHydroMixシステムをサポートすることで、このシステムの北米における普及が促進されるだろう」
HydroMixシステムの最も一般的な用途のひとつである嫌気性消化は、微生物が酸素のない環境で生物分解性物質を分解する生物学的プロセスで、そこで最終的に生まれるもののひとつがバイオガスである。バイオガスは、燃焼させて発電や給熱に使える――これを、GE PowerのDistributed Power部門はJenbacherガス・エンジンを使って実現することができる。
*1 EWBJ51号に関連記事あり「GE Power & Water、イギリスのMonsalを買収――廃水からバイオエネルギー回収へ」