過去60年人口が増え続け、水不足が問題となっているメキシコのハリスコ州に、2014年に設立されたネスレの工場は、子供用NIDO及び、アイスクリーム、シリアルを製造しているが、水消費量削減の為に開発された、Veolia Water Technologiesの技術を利用して水使用ゼロを達成し、これにより、1万1500人の使用量に相当する、160万リットルの水が毎日節約されている。
同工場では、ヴェオリア社が開発したAQUANTISという、生物反応膜により固形物を除去した後、逆浸透膜(RO)で塩分や溶解した固形物を留保する排水処理技術により、乳製品製造における牛乳の蒸発脱水工程で得られる水と、衛生化機器の洗浄排水を、飲料水レベルに浄化した水が利用されている。「ゼロ・ウォーター」と呼ばれるこのプロジェクトでは、この処理水が、乳製品製造工程以外の、従来水道の水を使っていた冷却塔や、清掃、庭の散水などで使われる。
ネスレは過去10年間で33%の節水を達成しているが、世界で自社製品の生産量が増加している中、メキシコ国内では50%の節水を達成している。ハリスコ工場の「ゼロ・ウォーター」は、ネスレの世界の工場で行っている370のイニシアティブの一つで、メキシコの他、南アやパキスタン、インド、中国の乾燥地帯にある工場でも、適用が始まっている。
メキシコのハリスコ工場のゼロ・ウォータープロジェクトへの投資金額は2億ペソで、メキシコのネスレ工場ではこの他、以下が達成されている。
- 過去10年で、生産物1トンあたり48%の節水。
- チアパス州の工場で使用される水の12%は、雨水利用によるもの。
- ケレタロ州の工場では、緑地の灌漑に、工場で汚水処理される水の50%に相当する9万2500m3の水を再利用。
- 生産者から買い付ける牛乳の47%は、水管理に関するサステナブル評価を受けているる。
- 1万5510のコーヒー生産者は、水資源の保護を原則とするコーヒー生産者コードを遵守しているかのチェックを受けている。