フィンランド環境研究所が2017年3月21日、環境政策文書『マイクロプラスチック:高まる環境リスク―マイクロプラスチックと闘う新たなビジネスチャンス』を発行した。フィンランドは2017年12月に国家独立100周年を迎える。本文書は、独立を記念する環境状態報告書全4巻のうちの第1弾である。
同研究所によると、フィンランドの内陸水や海洋水の状態は、最近数十年で著しく全体的に改善してきている。しかし、マイクロプラスチック、有害物質、気候変動、農地由来の汚染などにより、フィンランドの水域は今なお脅威にさらされている。フィンランドのマイクロプラスチックのおもな発生源は、家庭の都市下水と道路交通である。
ヘルシンキのViikinmäki下水処理場を対象に実施した調査によると、処理場に入ってくる下水に含まれるマイクロプラスチックはその99%を回収可能だが、最終的に下水スラッジとなり再利用が制限されてしまう。いっぽう、ヘルシンキのMechelininkatu通りは、フィンランド随一の交通渋滞で有名であるが、年間4~7トンのマイクロプラスチックが排出されている。現在、最新の雨水排水システムを設置しているところであるが、かえってマイクロプラスチックを近隣の港湾に直接ただちに排水してしまうことになる。
フィンランド環境研究所は、マイクロプラスチック低減対策を次の3点に整理している。
- マイクロプラスチックの発生は、適切な経済的、法的、情報上の対策を講じることで防止できる。このような対策は技術革新を促すとともに、新たなビジネスチャンスを生み出す。バイオ素材に基づくフィンランドの技術を諸外国で展開すれば、フィンランドは世界中の需要を満たす費用対効果ある対策を提供できる。
- 下水処理場から排出される下水スラッジを再利用する場合、環境影響の観点から慎重に計画しなければならない。その際、マイクロプラスチックその他の有害物質がもたらすリスクを考慮する必要がある。下水スラッジに含まれる栄養素を有効活用する安全で効率的な方法を見つけることを目標とすべきである。
- 市街地から海洋に流入するマイクロプラスチックは、排水システムを慎重に計画し、また新しい技術的対策を講じることで減らすことができる。都市流出水に含まれる汚染物質の濃度は、包括的な先行計画を通じて引き下げることができる。