アルゼンチンの公共事業・住宅省は2016年2月15日に、15年間で440億米ドルの投資を必要とする「国家水計画」を発表しているが、同省の水資源部門副大臣によるとそれが実行段階に入った。国家水計画は、水道普及率100%と下水普及率75%を目指すもので、ダムの建設などの大規模プロジェクトも含まれており、2020年代初めまでには210億米ドルの投資が必要となる。副大臣によれば、今年の投資額は16億米ドル、また2019年には54億米ドルの投資が予定されている。
また副大臣は、アルゼンチンのインフラへの投資額は現在GDPの2%にとどまっているが、これは適正水準の6%であるべきであると述べ、インフラ投資は現状国庫と政府間国際組織の融資でまかなわれているが、新しい形として投資信託によるインフラ整備が予定されていると説明した。
現在既に始まっている上下水インフラ建設には、32億米ドル投資のコルドバ市の浄水システム建設、4億米ドル投資のリオ・クアルト市の汚水処理場建設や、北部の10の県での77億米ドル投資による上下水インフラ整備工事がある。ブエノスアイレスの汚水を運ぶ40kmの下水トンネル建設を含むリアチュエロの下水インフラ工事は、既に12億米ドルの世銀の融資が決まっている。
アルゼンチンの2015年の水道普及率は84.4%、下水普及率は58.4%となっている。また下水の浄化率に関する正確な情報はないが、15-20%と推定されている。しかし首都圏をみると地区により格差が大きく、ブエノスアイレス市の水道普及率は99.6%であるが、周辺都市を含めた首都圏では70%に過ぎず、地域によってはわずか18%以下というところもある。また下水普及に関しては、ブエノスアイレス市は98.7%であるが、首都圏のその他の地域では38%となっており、10%以下という地区もある。全国レベルでみると、国民の62%が住む人口10万人以上の31の都市では、水道普及率は86%で下水普及率は62%、その他の人口2000人以上10万人以下の1067の市では、水道普及率は90%、下水普及率は52%となっている。また国民の7.7%が住む農村地域では、水道普及は79%、下水普及は8%となっている。
2016年に発表された「国家水計画」は、以下のサイトでダウンロード可能(西語表記)。
http://www.mininterior.gov.ar/plan/docs/PNSAPyS-2016-03-16.pdf