フランスの水処理・廃棄物処理の大手Suezと、ベルギーの大手化学品メーカーSolvayは2017年11月16日、中国山東省の沿岸都市煙台にある万華化学(Wanhua Chemical)の工場群に水を供給する逆浸透(RO)淡水化プラントの排出ブラインを処理する業務の契約を獲得したことを発表した。SuezとSolvayは、中国における厳しい環境基準を満たすべく、促進酸化法(AOP)による水処理の開発とマーケティングを共同で進めるために提携を結んでいる。
今回の契約の内容
グローバルな化学品メーカーである万華化学の煙台工場群は、逆浸透淡水化プラントから水を得ている。SuezとSolvayが今回獲得した契約は、淡水化の過程で生じるブラインの処理ラインを提供するものである。このブライン処理ラインは日量2万4000m3の処理能力があり、総窒素(TN)15 mg/L未満、全有機炭素(TOC)20 mg/L以下、生物化学的酸素要求量(BOD)10 mg/L以下、懸濁物質(SS)10 mg/L以下、総リン(TP)0.5 mg/Lなど、化学業界に求められる最新の排水基準を満たすまでにブラインを処理して海に排出することができる。この処理ラインは、Suezの特許技術(Densadeg、Biofor DN、Oxyblue、Flopac、Ozonia XF)、およびSuezとSolvayが共同で開発したAOP技術を使って、ブラインの最適な処理をおこなうとともに運転コストを最適化する。この処理ラインは2018年10月に運転を開始する予定である。
AOP技術をベースにした産業廃水処理ソリューション
SuezとSolvayによるこの共同プロジェクトは、両社が2017年にはいって中国で初めて獲得した契約で、両社の専門性と技術をうまく組み合わせ、AOP技術をベースにした革新的な産業廃水処理ソリューションを提供する。両社の技術は従来よりも広範囲な分子に効果があり、また、汚染物質がひとつのフェーズから他のフェーズへ移行することも、大量の有害スラッジが発生することもないため、持続可能で環境フレンドリーなソリューションが可能になっている。SuezとSolvayは相互協力により、処理プロセスの設計や機器の据付から、産業廃水処理のフルサービスにいたるまで、個別の顧客の要望に応じた処理モデルを提供している。このために、両社が中国とチューリッヒにもつ研究開発センターが、オンサイトの性能検証が可能なパイロット・プラント機器を使って廃水のタイプごとの処理の効率とコストの最適化をするなどして、必要な技術的サポートをおこなっている。
両社幹部のコメント
今回の契約獲得について、SuezのSteve Clark CEOはこう述べている。「この契約を獲得できたのは、Solvayとの協力関係がうまくいっていることの証しだ。中国の規制が厳しさを増すにつれ、複数の企業の経験を総合した最先端技術によるきわめて先進的な処理方法の開発が必要になっている。SuezとSolvayが提供する革新的な技術とビジネス・モデルは、あらゆる産業分野で発生する複雑な廃水を確実に処理するフレキシブルで費用対効果性にすぐれたソリューションを提供することができる」
また、Solvay Peroxides GBUのAndrew Cummingアジア太平洋地域社長はこう述べている。「Suezとの協力により、双方がすぐれた技術と専門的知見を持ち寄り、中国の顧客のそれぞれのニーズを満たすようフルに最適化されたきわめて効果的な水処理ソリューションを提供することができる。この協力関係が万華化学からの煙台プロジェクト契約の獲得に結びつき、SuezとSolvayがいっしょになって顧客に提供することのできる価値を示す機会を得たことを、たいへんうれしく思う」