2017年10月11日、チリの下院の鉱山・エネルギー諮問委員会は、下院議員が出していた、鉱山開発に海水を使用することを義務付ける法案の審議をすすめることを承認した。法案を出した国会議員は、諮問委員会が今年中に下院に提出して下院で審議すれば、来年1月には上院に回せるとの見解を出している。
最初の法案は2013年12月10日に下院に提出されているが、2015年5月6日に改訂版が再度下院に提出され、2016年9月29日に下院の鉱山・エネルギー諮問委員会で法案差し替えが承認された後、手続きがとまっていた。
法案は、鉱山法の第110条及び111条を、以下のように改正する(赤字部分)ものとなっている。
- 第110条に、赤字部分を追加する。
「鉱山開発の運営権を有するコンセッション事業者は、コンセッションの種類により、権益を与えられた運営地にある水を、探鉱や採掘、事業のために利用する権利を、運営地の住民が使用する水が不足しない限りにおいて、有する。この権利はコンセッションに付随するものであり、コンセッション終了に伴い消滅する。」 - 第110条に、赤字部分を追加する。
「その他の事業に必要な水の使用に関しては、水資源法及びその他の法令の規定に従うこと。鉱山法や水資源法、その他の特別規則にある鉱山開発の水に関する規定に関わらず、環境手続きが必要な大規模鉱山開発プロジェクトは、淡水を住民向けの使用に確保できるように、プロジェクトの生産活動に淡水化する/しないを問わず、海水を使用しなければならない。」 - また移項条項として、以下を追加する。
「工業用、特に鉱山開発用に海水を使用することを奨励し便宜を図ることを、国家の義務とする。また国家は、2025年までに、民営の鉱山開発プロジェクトは使用水の35%を、公社のプロジェクトの場合は40%を、海水とするための規定を定めること。」
チリでは降雨量の少ない砂漠地帯である北部で銅の鉱山開発が進んでおり、住民の生活に必要な水の確保が問題となっている。しかしこのような義務付けが生産部門に与える影響は注意深く検討する必要があるとの意見を出している国会議員もおり、また公共事業省の水資源局は、措置は漸進的に行う必要があるとの見解をだしている。
法案は、以下のURLからダウンロード可能。
https://www.camara.cl/pley/pdfpley.aspx?prmID=10258&prmTIPO=INICIATIVA