中国環境保護部、11省・市の飲用水源地における違反ゼロの年内達成を強調

中国環境保護部は、2015年5月以降、長江経済ベルト(揚子江沿いの経済圏。上海市、江蘇省、浙江省など11の省、直轄市が含まれる)の126の地級市以上の都市において、飲用水の安全に関する顕著な問題の優先的な解決を目的として、集中型飲用水源地の保護に関する「特別行動」を2年間にわたり実施してきた。

環境保護部環監局の担当者によると、対象となる126の地級市以上の都市における飲用水源地には、以下の対応の実施が要求されている。

  • 法律に基づく引用水源保護区の画定
  • 飲用水源保護区の境界における明確な境界標識および警戒マークの設置
  • 1級および2級飲用水源地における下記を含む環境法違反問題の処理
    • 飲用水源への汚染物質排出口設置
    • 給水施設や水源保護とは無関係の建設事業
    • 網いけす養殖などにおける飲用水域汚染防止措置

2016年末時点で、11省(市)における319の地級市以上の都市では、飲用水源保護区の画定が完了している。加えて、11省(市)における一斉検査により、490件の違法問題が摘発された。2017年9月15日時点で、490件の問題のうち全体の89.4%を占める438件については、環境保護部による対策が実施され改善が見られている。一方、残りの52件の問題に関しては、未処理の状態にある。環境保護部は、2017年末までに、11省(市)の飲用水源地における違反ゼロという目標を達成するため、上記52件の問題を年内中に解決するよう明確に要求した。

環境保護部環監局の担当者によると、依然、対策が講じられていない52件の問題のうち、15件は違法建築物の未撤去、9件は農業の非点源汚染、6件は汚染物質の排出口、6件は違法埠頭の未撤去に関する問題である。上記の52件は、いずれも容易には解決できない問題である。上記の問題に関係する一部の企業は、複数の部門に所属しているため、複雑な財産権についての問題が関係しており、さらに、一部の違法埠頭については、飲用水源保護区として指定される前に建設されていたり、現地住民の唯一の交通手段として利用されていたりする場合もある。農業の非点源汚染も、多くの住民が関係する問題といえる。社会の多方面の利益や政府の複数部門が関係するため、こうした一連の問題の解決を図るには、資金の投入だけではなく、地方政府による問題の重視や複数の部門間での協力が必要となる。

環境保護部の監督審査に参加した中国環境科学院の付青研究員は、「環境保護部が衛星測位システムを利用したリモートセンシング解析を開始してから、地方政府は小細工ができなくなった。そのため、期日通りに52件の問題の改善を図ることは、所在地の政府にとって最善の選択といえる」と指摘している。