サウジアラビア政府、原子力エネルギーの開発強化に向けて中国と覚書を締結――原子力エネルギーを利用した淡水化プロジェクトも進めていく

サウジアラビア政府は2017年8月24日、同国での原子力エネルギーの開発支援を強化するため、中国と新たな覚書を締結した。サウジアラビアは過去何年間にも亘りエネルギーの多様化を進めており、その一環として原子力エネルギーの開発に焦点を当てている。今回中国と締結した覚書に基づき、サウジアラビア国内のウランやトリウムといった資源探査・評価や国内原子力エネルギープログラムの支援などを受ける。

サウジアラビア政府はこれまで、原子力エネルギーの技術開発を進めるために、中国と共同で取り組んできた。両国は2012年に、原子力エネルギーの民生利用に向けて覚書を締結した。2017年8月24日に、サウジアラビア地質調査所(SGS:Saudi Geological Survey)は、中国国営原子力事業者China National Nuclear Corporation(CNNC)との覚書の締結を通じて、原子力エネルギー分野における両国の既存協力体制を強化し、国内のウランやトリウムの資源探査や評価を行う。また、サウジアラビア国営技術開発支援機構Saudi Technology Development and Investment Company(TAQNIA)は、China Nuclear Engineering Group Corporationと覚書を締結し、ガス冷却原子炉を使用した淡水化プロジェクトを共同開発すると発表した。

さらに、サウジアラビア原子力計画の策定を責務とするアブドゥッラー国王原子力再生エネルギー機構(KACARE:King Abdullah City for Atomic and Renewable Energy)理事長のHashim Yamani氏は、覚書締結前に実施された中国との協議において、国内のウランやトリウムの資源探査や評価に加えて、国内初となる原子炉2か所の新設に向けた事前フィージビリティ調査を共同で行う方針を明らかにしている。サウジアラビア政府は、合計2.8GWに及ぶ原子炉の新設を計画しており、現在同調査の初期段階にある。KACAREは、原子力エネルギー技術提供国である中国のほかに、米国、日本、韓国、ロシアとも面会しており、7月末にフランスへ訪問したとしている。サウジアラビア政府はまた、中国副首相Zhang Gaoliがサウジアラビアを公式訪問した際に、共同事業基金(joint venture fund)を中国と立ち上げ、総額200億ドル(約2兆2479億円)規模の共同プロジェクト11件を実施することに合意した。

サウジアラビアは、エネルギー多様化に向けて、再生可能エネルギーの開発も進めている。同政府は今年再生可能エネルギープログラムを立ち上げたほか、来る11月までに国内初となるユティリティスケール太陽光プロジェクトの落札業者を発表する予定である。同国は、昨年末に立ち上げた経済再生プログラムに基づき、産出される原油を、発電や淡水化事業などで国内で消費するのではなく、その分を海外へ輸出することを目指しており、新たな収入源として位置付けている。

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