米3M、PFC類による水道水汚染でミネソタ州と和解

米ミネソタ州メープルウッド市に本社を置く化学・電気素材のグローバル・メーカーの3M Co.はこのほど、同社の撥水・防汚剤製品“Scotchgard”にかつて成分として使われていた過フッ素化合物類(PFC類)がミネソタ州内の水道水を汚染したとして同州司法長官から訴えられていた件で、8億5000万ドル(約900億円)を同州に支払うことで和解に応じた。この訴訟は2010年にはじまったもので、和解金は上水道や水の持続可能性に関連するプロジェクトの資金として使われる。

3Mが和解に応じたのは、裁判がこれ以上長期化することを嫌ったためである。3Mの研究開発担当副社長兼最高技術責任者のJohn Banovetzはこう述べている。「われわれはPFCに関連する健康問題があると考えたことはいちどもないが、今回の和解によって訴訟を打ち切ることができる」

PFC類に関する規制や訴訟をめぐるふたつの問題

ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やペルフルオロオクタン酸(PFOA)をはじめとするPFC類については、それに関する規制や訴訟をめぐってふたつの問題が提起されている。ひとつは、連邦政府が環境規制を緩和しつつあるなかで、大量の雇用に貢献している大企業に対して環境汚染を理由とした処罰を州がはたして現実問題としてどこまでできるのかという問題である。

もうひとつは、分解しにくく食物連鎖による蓄積が明らかになっているPFC類などの化学物質について、企業がその製造を中止してからかなりの時間が経過したのちでも重い責任を問うことができるのかという問題である。ちなみに、3Mは2003年6月に、それまで“Scotchgard”に成分として使われていたPFC類を他の物質に代替している。

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