英国環境省が2019年8月12日、水資源インフラに関する最終的な国家政策声明(NPS)をこの秋に発出すると発表した。環境省は現在、NPS案をめぐる公開協議中に寄せられたすべての意見を精査しているところである。本NPSは、イングランドの水資源に関連する国家的に重要なインフラプロジェクトを開発する必要性と政府の政策を定めるものである。これにより、国家的に重要な水資源インフラが必要な場合には、それをタイムリーに高い水準で実現できるようになる。そのためNPSを通じて、事業者が水資源インフラに関する開発同意申請を行う場合の明確な枠組みを定める。開発同意申請書はまず、審査当局(この場合は英国計画検査局)が審査をし、国務大臣が決定を下す。NPSは次の3つのパーツからなる。
(1) 水資源インフラの必要性
英国政府は水供給に対するプレッシャーに対処するため、水部門の強靭性を高める喫緊の必要性を認識している。人口増大、気候変動の影響、そして環境を保護するため水路・湖沼・湿地などの水量を十分に維持する必要性等のため、このプレッシャーは増大している。水産業が環境を損なうことなく、信頼でき、しっかりしたサービスを将来にわたってすべての人に提供できるようになることが、政府のビジョンである。このビジョンを現実のものにするには、強靭な水供給を確保する二正面のアプローチが求められている。それが需要管理(漏洩の削減、水効率対策等)と新たな水供給源の確保(貯水池、水の移送等)である。
(2) 審査の指針となる評価原則
国家的に重要な水資源インフラ開発同意案の申請にあたり、審査の指針となる評価原則は、1)全般的原則、2)環境影響アセスメント、3)生息環境に関する規則に基づく評価、4)環境ネットゲイン、5)代替案の評価、6)水資源インフラを対象とした「グッドデザイン」基準、7)気候変動への適応、8)環境規制、9)コモンロー上の迷惑行為と法定の迷惑行為、10)安全性、11)保安面の考慮、12)健康に関する12項目である。
(3) インフラタイプの建設面、運転面の影響に関する詳細なガイダンス
水資源インフラの建設・運転段階で共通の影響が発生しうるのは、1)大気質、2)生物多様性と自然保全、3)炭素排出、4)沿岸の変化、5)埃・臭い・人工光・煙・蒸気、6)歴史的環境、7)洪水リスク、8)景観と視覚的影響、9)土地利用、10)騒音と振動、11)資源と廃棄物管理、12)社会経済的影響、13)交通と輸送、14)水質と資源の14項目であり、それぞれ詳細なガイダンスが付けられている。