ドイツの太陽光発電システムなどのメーカー、Phaesunはこのほど、インドのグジャラート州で太陽光発電による淡水化施設を2基設置した。このうち1基は学校に、1基は寺院に設置され、かん水から得たきれいな飲料水を供給している。この革新的な淡水化施設は電気透析技術を使ったもので、この技術は、EUの共同研究開発プロジェクトREvivED waterの一環として、Phaesunをはじめとするヨーロッパの10社が共同で開発を進めている。REvivED waterプロジェクトのなかでPhaesunはもっぱら、塩分を含む貯水した水から毎日最大2000リットルの飲み水をつくることのできる自立型太陽光発電利用淡水化システムに力を注いでいる。
電気透析技術
蒸発法や逆浸透膜を使った従来の淡水化技術と違って、電気透析は高温も高圧も必要としない。これは膜技術を応用したもので、電気的な力によって塩イオンがイオン交換膜を透過する。このため、塩分を大きく減らすことができるが、ミネラル分は濾過されることなくそのまま残る。
PhaesunのTobias Zwirner社長はこう言う。「この新技術はメンテナンスをほとんど必要とせず、また、エネルギーをあまり必要としないので太陽光発電に向いている。このため、電力網が整備されていない途上国の遠隔地での利用に特に適している。これこそ、Phaesunが最も得意とするところだ」
プロジェクトの進行状況と今後の予定
太陽光発電による淡水化技術の開発を進めるPhaesunは、アフリカとアジアにおいて現地の諸条件のもとでのパイロット・プラントの試験をおこなっている。最初のパイロット・プラントのいくつかは、2018年と2019年に東アフリカに設置された。それらプラントのパフォーマンス・データはリモート・モニタリング・制御システムによって集められ、さらなる開発に生かされている。EUのREvivED waterプロジェクトは現在、最終ステージを迎えており、今後、タンザニアとソマリランドにパイロット・プラントが設置されることになっている。これらの経験をもとに開発される最終製品が、2020年半ばには市場に出される見込みである。