中国、MBR産業発展白書を発表 – 黄金の十年を迎える中国MBR市場

2014年9月17日、MBR産業技術創新戦略連盟第三回理事大会、および、「MBR産業発展白書」公表会が北京で開催された。この「中国MBR産業発展白書」(以下、本白書)は、MBR産業発展に関する国内初の権威的な報告書であり、中国MBR産業の競争力を評価することを通して業界発展および企業経営管理の意思決定の参考になるものとして、MBR産業技術創新戦略連盟*1、中国人民大学、中国科学院生態環境研究センター、中国膜工業協会が共同で作成したものである。

本白書では、中国国内におけるMBRの応用研究の発足は遅れているが、近年非常に速いスピードで発展してきたと指摘されている。汚水処理関連基準の強化に伴い、2015年までに国内で稼動または建設中のMBRシステムの累計処理能力は500万m³/日となる見込みで、実現すれば2013年度230万m³/日の累計処理能力と比べて倍増することになる。

中国膜工業協会の事務局長である尤 金徳 氏によれば、中国都市汚水、各種生活排水、および、高濃度かつ難分解性の工業廃水の処理プロセスなどでMBRは幅広く採用されており、競争力のある選択肢となっている。現在、中国市場はMBRの世界市場の重要な一部となっており、一部の先進企業は更に戦略投資を導入し、市場、技術、資本および人材という資源を統合し、中国国内の巨大な需要を頼りに、MBR世界市場におけるシェアをますます高めようとしている。

「政策」と「市場」の2つの要因によって膜産業の成長が加速

将来的に中国MBR市場は、有利な「政策」と巨大な「市場」という好機に直面していると言える。「高性能膜材料科技発展『十二五』特別計画」によると、膜産業は急成長の勢いを保ち2015年までに1000億元規模に達するという。また具体的な目標として、トップ企業の育成に力を入れ上場企業を10社以上に増やすこと、産業集積区を計画し集積発展・イノベーションを推進するという目標が打ち上げられた。

中国環境保護部・環境計画院によれば、中国の「十三五」計画期間における排水処理への投入は1兆3900億元に達し、そのうち工業排水処理および都市下水処理への投入は4590億元に達するものと見込まれている。これを背景にして、膜技術はこれからの10年間において大きな発展チャンスを迎え、中国膜産業にとって生産高が急増する「黄金の10年」を迎えることになり、関連産業も急成長期を迎えると予測されている。

MBR産業連盟理事長企業である北京碧水源科技股フン有限公司の戴 日成 総経理は、「比較的狭い分野だと言えますが、MBR技術の発展によって中国汚水処理技術は大きく前進しています。エンジニアリング会社や各種事業者のMBR技術に対する認識が深まることで、MBR技術の普及のポテンシャルも高まっていくでしょう。MBR産業連盟は技術研究開発を強化するほか、MBR技術の応用・普及にも力を入れ、汚水処理分野での普及率を1/4~1/3までに引き上げるよう努めるべきです」と述べた。

*1 MBR産業連盟は2010年12月23日に設立され、2013年末に連盟モデルとして科技部の承認を得た。同連盟は現在、北京碧水源を含む22社のメンバー企業で構成され、産業全体の発展の推進を目的として活動している。

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