中国農村部、将来の巨大な水市場に――BEWGの幹部が語る

2014年10月13日から16日にかけてひらかれた「ロイター地球気候変動サミット」で、中国最大の水ビジネス企業である北控水務集団有限公司(BEWG:Beijing Enterprises Water Group Ltd)の幹部が、中国の小さな町や農村は大都市に比べてインフラの整備が遅れており、そこには水ビジネス企業や投資家にとってきわめて大きなチャンスがあると述べた。

このロイター・サミットで語ったのはBEWGの海外事業を統括するシンガポールの法人、BEWG InternationalのZhang Zhenpeng取締役で、それによると、中国の都市部では浄水プラントの建設がほとんど終わり、農村部と違ってこれ以上の発展の余地はほとんどないという。

厖大な数のひとびとが水道のない生活

中国政府のある報告によると、同国の農村部では、2010年末の時点で、国の人口のおよそ30%にあたる4億人以上が公共上水道のない生活を送っており、そのうち20%以上が、家庭で使う水を川や池から直接引いている。こうした事情についてZhang取締役はこう述べている。「農村の居住地帯では水インフラの不足が深刻で、これが中国の水ビジネス企業や民間投資家にとって大きなチャンスになるだろう」

農村や小さな町では、水インフラの整備にまつわる課題は山ほどある。集落は散在していることが多く、小規模な浄水プラントの運営コストは高くつくが、その一方で、住民や地方政府には水道施設の建設費を負担する能力がないことがしばしばである。

人口に比して乏しい水資源

中国では世界の人口の5分の1が暮らしているが、その水資源はわずか世界の7%にすぎない。農村部では、水インフラが貧弱なのに加えて、限られた自然水さえも管理が行き届かないために先細りになっている。2014年9月の政府発表によれば、中国では地下水のおよそ60%が汚染されているという。また、それ以前にも、河川や湖沼が藻の大量発生、化学物質や未処理の汚水の流入などで汚染されていることが報告されている。

BEWG、農村部向けのビジネス・モデルを開発中

BEWGのZhang取締役は、同社が小さな町向けに特化した自動運転などの機能をもつ浄水プラントの研究開発にとりかかっていることを明らかにした。また、農村部に事業展開していくために、低コストのビジネス・モデルの確立にも取り組んでいるという。

香港証券取引所の上場企業で時価総額がおよそ59億ドル(約6300億円)のBEWGは、水処理能力に換算して中国の水市場の4%を占めていると見られている。Zhang取締役によれば、現在のところ、その事業のほとんどが都市部でおこなわれているという。

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