インド・ラジャスタン州の首席大臣Vasundhara Raje氏は、2014年10月13日、首席大臣として初めてシンガポールを訪問し、バイオリアクターと膜反応器を念頭に新たな水処理・再利用の技術的可能性を模索した。この中で大臣はHyflux のCEOであるOlivia Lum氏と面会し、具体的な可能性について議論を交わした。
塩水に悩むラジャスタン州にはHyfluxの膜分離技術が有効との見方
ラジャスタン州政府担当者がシンガポールにおける水の状況についてプレゼンテーションを行った後、Raje大臣は州内のバラトプルおよびナーガウルにおける塩水の問題について具体的な議論を交わした。「私たちは、塩水の問題に直面している地域において水の塩分濃度を低減する技術について議論をしました」とRaje大臣は語る。Raje大臣とHyflux幹部との議論の結果、ラジャスタン州には処理後の廃棄水を大きく削減することが出来るHyfluxの膜分離技術が有効であると見方が浮上した。今後、ラジャスタン州の複数の地域で水処理にこの脱塩技術を利用するパートナーシップが結ばれる可能性がある。その後Raje大臣は雨水を処理し、家庭へと送水しているシンガポールの15番目となる貯水池「マリーナ・バラージ*1」を視察した。
ラジャスタン州、今後5年間で5000のRO浄水プラントを建設予定
注目すべき点は、ラジャスタン州政府は州内のさまざまな地域に安全な飲用水を提供するため、今後5年間で5000のRO(逆浸透膜)浄水プラントを建設することを計画しているという点である。同州のRajan首席次官(インフラ担当)には、WHOが設定した飲用水のすべての基準値をHyfluxは満たしているとの旨が伝えられた。一方、Raje大臣はシンガポールからラジャスタン州への投資の可能性を探索し、シンガポールの内務大臣兼第二貿易産業大臣のS. Iswaran氏と面会した。彼らはラジャスタン州への投資を促すため2015年に開催が予定されているサミット「Resurgent Rajasthan-2015」*2ホスト国企業の参画についても議論を交わした。
*1 シンガポールの15番目の貯水池。シンガポール川の河口付近に位置し、9 つの鋼鉄門で構成される長さ 350m にも及ぶ巨大ダム。海抜が低い周辺地域の雨期の洪水被害を防ぐとともに、淡水を貯めるという2つの役割を担っている。
*2 ラジャスタン州都、ジャイプルで2015年10–11月に開催される予定。Resurgent Rajasthanは「再生ラジャスタン」の意。