台湾水利署、水リサイクル・プラントを6基建設へ――150億台湾ドル超の予算を準備

台湾の経済部水利署は2015年11月25日、下水を工業団地で利用できる水質にまで浄化することのできる水リサイクル・プラントを、水資源節約プロジェクトの第1段階として2020年までに6基建設することを明らかにした。このうち3基の水リサイクル・プラントはまったくの新設で、残る3基は既存の下水処理プラントを改造し、工業団地にリサイクル水を供給できるようにする。政府は、これら6基のプラントで日量28万トンの再生処理水を地元の工場等に供給できるとしている。これら6基の水リサイクル・プラントの建設は、工業団地に再生処理水を供給できる態勢を整備しようという長期プロジェクトの第1段階にあたるもので、政府はこの6基のために151億6300万台湾ドル(約568億2700万円)の予算を用意している

このプロジェクトには、経済部水利署のほか、内政部営建署や地方政府もかかわっている。この水リサイクル・プロジェクトの目的は、工業団地向けの水の供給を安定化させ、生活用水として浄水された水の工業利用を減らすことにある。台湾は、水道料金が安いことや、水道管からの漏洩、渇水などによる水不足の問題に長年なやまされてきた。なお、台湾における分野別の水需要量は下図の通りで、年間の総計は約173億m3で、工業用水はそのうちの約9.5%に当たる約16億m3となっている。

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図 台湾における2013年の分野別の水需要量(単位:百万立方メートル)
(出典:台湾 経済部水利署)

高雄市の鳳山渓プラントの工事は2019年に完了

高雄市の鳳山渓下水処理プラントの改造は2018年までに一部完了し、高雄臨海工業区に再生処理水を供給できるようになる。このプラントの再生処理能力は2018年に日量2万5000トン、2019年までには日量4万5000トンになる見込みである。また、このプラントの改造工事はBTO方式(建設・移転・運営)でおこなわれることになっており、入札がまもなくはじまる。

他の5基は2020年に

他の5基のプラントは、工事が2020年に完了する予定である。このうち、台中市では、福田下水処理プラントの改造で日量13万トンの再生処理水を台中港工業専区に供給できるようになる。この下水処理プラントの改造は追加的な濾過設備や殺菌設備の設置などによっておこない、再生処理水を工業団地まで運ぶ全長28キロメートルのパイプラインを新たに敷設する。

これら合計6基の水リサイクル・プラントは、前述の高雄臨海工業区と台中港工業専区のほか、中部科学工業園区、南部科学工業園区、およびそれに隣接する樹谷園区に再生処理水を供給する。それぞれの詳細は下表の通り。

表 各再生水プラントの概要
(出典:台湾 経済部水利署)

汚水処理
プラント
現在の排水量
m3/日)
再生水量
m3/日)
供給先 費用
(億元)
供給開始時期
鳳山渓(高雄市) 65,000 45,000 臨界工業区 26.4 2018年:25,000m3/日を供給
2019年:45,000m3/日を供給
福田 69,000 130,000 台中港工業専区 43.4 2020年供給予定
臨海 建設中 10,000 臨界工業区 8.1 2020年供給予定
永康 設計中 15,000 南部科学工業園区 12.0 2020年供給予定
安平 112,000 60,000 南部科学工業園区 43.9 2020年供給予定
豐原 設計中 20,000 中部科学工業園区 17.1 2020年供給予定
合計 280,000 150.9

 

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