アブダビの淡水化への投資、2030年までに倍増が必要

アブダビ首長国環境庁のMohamed Dawoud水資源部長が述べたところによると、同首長国は水不足に備えるために、淡水化への投資額を2030年までに現在の倍にする必要があるという。これはおもに、都市化の進行によって、きれいな飲み水の需要が増すためである。Dawoud部長はこれを、アラブ首長国連邦の首都アブダビ市で2016年5月にひらかれるリワ国際水技術会議の発表記者会見で語った。この国際会議は、中東地域で決定的な意味をもつ水供給問題への取組をおもなテーマにしている。この記者会見の席で同部長は、アブダビ首長国は淡水化への投資額を2030年までに現在よりも少なくとも倍増させると述べたが、具体的な数字は示さなかった。「アブダビは、開発の進行と人口増ゆえに、淡水化による造水量を現在の倍にする必要がある」とDawoud部長は述べた。

UAEのなかでもアブダビの淡水化需要増が突出

湾岸協力会議(GCC)は、2012年から2022年までのあいだに淡水化などの水関連プロジェクトに3000億ドル(約34兆円)以上を投資するとしている。淡水化市場の規模でいうと、アラブ首長国連邦はサウジアラビアに次いで世界第2位である。アブダビ首長国環境庁の報告書によると、同首長国は飲み水の半分近くを淡水化に頼っている。アラブ首長国全体で見ると、人口増と開発の進行にともなって淡水の需要は増大するが、それでもその増大率は2030年までに30%にすぎない。だがアブダビ首長国では、飲み水の最大の供給源が海水の淡水化なのである。アブダビにおける淡水化容量の推移は下図の通りで、現在は1日当たり900万ガロンを超えており、最近15年間で約3.5倍に拡大した。

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図 アブダビにおける淡水化容量の推移(単位:MGD)
(出典:ADWEC 2014 Statistical Report*1

淡水化のエネルギー問題に取り組むMasdar

アブダビも含め、中東地域の淡水化プラントはたいてい発電所とセットで建設されている。海水を蒸発させてその蒸気で発電用の蒸気タービンをまわし、同時に淡水を得ているのである。しかし、このエネルギー集約度の高い方法では、地下から淡水を得る方法と比べて通常10倍のエネルギーが必要である。これは、それだけ電力が必要であるということで、その分だけ資本支出も増大する。

アブダビ市に本社を置くMasdar社はアブダビ首長国北部のガントゥートで、再生可能エネルギーを使って海水から日量1500立方メートルの淡水を生産するプロジェクトを開始した。同社は、このプロジェクトでは海水淡水化に必要な電力を通常より最大40%削減することができるとしている。Masdar社は、アブダビ首長国に新設する淡水化プラントの15%にエネルギー効率のよい技術を用いれば、2020年以降は同首長国全体で年間およそ9400万ドル(約110億円)の節約になるとしている。「水は、アラブ首長国連邦ばかりでなくこの中東地域にとってもきわめて重要で、なくてはならないものだ」とMasdar社のMohammed Al Ramahi CEO代行は言う。そのため、Masdar社は集中的にさまざまな技術を評価して、アブダビ首長国に最も適したものを選んだと同氏は述べている。

*1 http://www.adwec.ae/Documents/Report/2014/2014%20Statistical%20Report.pdf

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