チリの銅資源開発庁COCHILCOが2016年6月に発表した「2015年銅資源開発における水消費量に関する報告書*1」によると、2015年のチリにおける銅資源開発での海水使用は対2014年比33%増加し、過去3年間では130%に達した。また、銅1トンあたりの生産に使われる水の使用量は減少傾向にあると指摘されている。資源価格下落で減速傾向にはあるものの、チリでは新しい鉱山プロジェクトも進んでおり、海水使用は今後も増加すると見られている。チリでは現在10件の淡水化プラントが稼動しており、2017年から2024年に稼動予定のプロジェクトが10件ある。
2015年のチリにおける銅資源開発で使用された水の水源別内訳は、地下水が6.4m3/秒、地表水が5.6m3/秒、海水が2.3m3/秒となっている。地表水の使用量は減少傾向にあるが、地下水と海水は増加傾向にあり、特に海水の使用については前年比30%増で拡大している。
図 チリの銅資源開発における水源別水使用量(m3/秒)の推移
(出典:COCHILCO)
海水の使用は、完全に脱塩処理されるものと、半塩水(汽水、brackish water)まで処理されるものという2通りの内訳で利用されており、それぞれの量は下図の通りである。
図 チリの銅資源開発における海水使用の内訳
(出典:COCHILCO)
いっぽうで、世界の鉱物資源開発における水の使用は、再利用水と海水の使用が年々増加する傾向となっている(下図)。近年、銅原鉱の品位が落ちて来ているため、精鉱生産により多くの水が必要になってきているが、陸水の使用を増やさずに、再利用水や海水の使用を増やすことで銅の生産量を維持する対応がなされていることが下図から読み取れる。
図 世界の銅資源開発における水使用量と銅生産量
(出典:COCHILCO)