メキシコシティの水システム局SACMEXの局長は、メキシコシティの上下水サービスの質改善と排水設備拡充には今後25年間で2000億ペソ(約1兆1000億円)の投資が必要であるとし、メキシコ連邦区議会に対し、同局への予算の毎年5%の継続増加を要求した。局長は、水の問題は1年分の予算で解決するものではなく、長期的なコミットメントが必要であると述べている。
SACMEXが作成した25年投資計画は、上下水サービスの質と排水設備を改善することで、次世代に必要な水の供給を確保することを目的とするもので、約2000億ペソが必要とされている。計画では達成度を測る指標も規定されており、進捗がモニタリング出来るようになっている。局長によれば、メキシコシティの洪水の問題を解決する為だけで、350億ペソの投資が必要で、このうち30%は、1950年代に建設された古いインフラの改築向けとなる。
SACMEXは、予算の年間5%増加の他、国内外の銀行融資プログラムも提案している。現在、ミラモンテス水路の洪水予防工事に12億ペソ、ナシオナル水路の工事に5.3億ペソ、イツァパラパ水路の工事に4.4億ペソの投資が急務となっているが、予算がない状態となっている。またインディオス・ベルデス水路も5.6億ペソ、ラ・コンコルディアとプエブラ方面の工事にも2億ペソ必要な状態となっている。
メキシコシティではなく、首都圏全体の排水設備に関しては、局長は、2018年に完成予定の東部排水トンネル(TEO)の建設により、解決されるであろうと述べている。TEOは、メキシコ盆地からクエンカ地方に向けた排水トンネルで、首都圏の排水設備はメキシコシティよりも進んでおり、問題ないとされている。
雨季の洪水対策としては、SACMEXは、1523kmにわたる排水管及び12ヶ所の貯水池、5ヶ所の湖沼、2本の川の清掃及び、汚水ポンプ場のメンテナンスを予定している。メキシコシティでは、洪水の50%は排水溝の廃棄物堆積が原因となっており、廃棄物除去は毎年行われている。局長によれば、雨季にはメキシコシティの排水システムに毎週1000トンのゴミが流れ込んでおり、そのうち半分の500トンは、排水溝の網を塞いで深刻な問題を引き起こしている。