中国の国家発展改革委員会は、2016年10月28日、国内における効率的な水資源利用に向けた政策文書である「国民節水行動計画」(以下、本計画)を公布した。本計画は、水を消費するすべてのセクターに関する将来目標を提示するもので、具体的には以下の10の大項目から成る。
- 農業における節水・増産行動
- 工業における節水効率向上行動
- 都市における節水・損失低減行動
- 水不足地域での率先した節水行動の実施
- 工業団地での節水・汚染物質排出削減行動
- 節水製品の普及促進行動
- 節水産業の育成行動
- 公共機関における節水行動
- 節水の監督管理の強化行動
- 国民への節水広報活動
上記のうち2、5および6について、その詳細を以下にまとめる。
工業における節水効率向上行動
工業セクターにおける節水については、「水大量消費業種の空間配置の最適化」、「工業における水利用効率の引き上げ」、「工業での節水管理の強化」という3点が掲げられている。本計画によると、節水型企業の構築を加速し、水不足地域での水大量消費業種の拡大を厳しく制限するという。具体的な数値目標としては、2020年までに、一定規模以上の企業における工業用水の再利用率を91%以上にまで到達させ、工業付加価値1万元当たりの水使用量を48m3以下にまで削減させることが明記されている。さらに、スマート水道メーターの使用普及を加速し、水使用量のオンラインデータ収集、リアルタイムのモニタリングが可能な管理制御システムを構築するよう重点監視対象の水利用企業に対して奨励していくという。
工業団地での節水・汚染物質排出削減行動
また工業団地での節水に関しては「水の循環を促進する工業団地の産業システムの構築」と「工業団地の汚水処理および再生利用率の向上」の2点から成る。具体的には、工業団地に新規参入する企業に対して、企業間での水の共同利用、用途に応じた異なる水質の水の供給、水の再利用、循環利用を奨励し、工業団地の企業間で水を循環し集約的に利用する産業システムを構築していく。工業団地の節水、廃水処理、リサイクルにおける専門技術サービスのサポート体系およびサービスの枠組みを構築し、節水型工業団地の建設を促進する。
節水製品の普及促進行動
最後に、節水製品に関する行動計画は、「水利用効率表示制度の確立」、「節水製品認証の普及促進」、「高効率節水製品の『下取り』の実施」から成り、水使用製品(洗濯機や給水栓など)への水利用効率表示制度について言及している。水利用効率表示製品リストならびに実施規則を制定および公布し、リストに組み込まれた製品には統一された水利用効率表示を強制的に表記すること、また、一部の節水効果が顕著な製品を優先または強制調達品として選出することが目標として挙げられている。さらには、非節水型製品の交換を促進するために、「下取り」キャンペーンの実施をメーカーに奨励し、地方政府に対しても特別資金の投入を奨励することが謳われている。
本計画の原文は以下よりダウンロード可能である。
http://www.sdpc.gov.cn/gzdt/201610/W020161031586662434051.pdf