Grundfos、米消費者と水道事業者との間で水問題に対する認識に大きな隔たりがあると発表

大手ポンプメーカーGrundfos North America(Grundfos)は2017年4月19日、米国民を対象としたアンケート調査の結果[1]を発表し、消費者と水道事業者との間で水問題に対する認識に大きな隔たりがあることを明らかにした。特に、水道事業者は今後の水不足に懸念を示しているものの、米国民の半数は水不足の問題を深刻に捉えていない実態が浮き彫りとなった。

Grundfosが今年3月に、18歳以上の米国民2000人を対象に実施したアンケート調査によると、3分の1以上の回答者は、地元の水供給の実態を十分に把握しておらず、その結果、水問題に対する消費者の認知度が欠如しているという。回答者の38%は、地元の水供給の実態に精通していると答えたものの、消費者の数多くは蛇口へ送られてくる上水道の仕組みを理解していない。また、米国人の大部分は、地下室に設置されている温水器が故障でもしない限り、同製品のブランド名を把握すらしていないように、水道事業者自体や同事業者の日常業務を学ぶ機会がない。

アンケート調査では、消費者と水道事業者との間で将来の水供給に関する認識にずれが生じていることも明らかになった。回答者の60%が、水を供給する水道事業者は「良い」または「非常に良い」と答えているにもかかわらず、水道サービスを「満足」または「非常に満足」と回答したのはわずか54%に留まる。また、消費者の全体の半数(49%)は、今後水不足の影響を受けることはないと捉えている。これとは対照的に、水道事業者の管理者50人のうち40人は、気候変動や人口増加などの要因により、今後10年以内に水不足に陥ると見ている。このように水道事業者が直面する現実課題と、消費者が将来の水供給サービスに求める期待値とに大きな隔たりが生じている。

米国の上下水道インフラの老朽化も深刻な課題である。米国で利用されている水道管、下水管、ポンプやその他の関連施設の大部分は1940年以前に敷設・設置されている。米国民は、学校、病院の次に、上下水道施設は生活に必要不可欠な公共インフラであると認識している。しかし、American Society of Civil Engineersが2017年3月に発表した「インフラ実態報告書(Infrastructure Report Card)最新版」によると、米国における公共インフラのうち、水道システムがDランク、下水道システムがD+ランクに位置づけられるなど、インフラの老朽化が深刻化している。米国では年間24万件に及ぶ水道管の破裂が発生しており、これを修復するには1兆ドル(約111.25兆円)以上のコストが必要であると見られている。水道インフラは最も消費者が使用する公共インフラであり、同システムに対する1人当たりの投資コストは極めて低い水準にあるものの、水道料金へのコスト転嫁を考慮して、同システムへの投資を増やすべきであると考えているのは、米国人のわずか2%しか存在しない。

また、American Water Works Associationが2016年に実施した調査「2016年水産業の現状報告書(2016 State of the Water Industry Report)」によると、約1500名の水道事業者の従業員のうち3分の2以上は、家庭用顧客は水道料金の値上げに否定的であると感じているという。Grundfosが実施した調査でも、回答者の約半数(49%)が水道料金の値上げに懸念を示すなど、同様の結果が得られたとしている。一方、別調査によると、水道事業者の70%以上は、水道インフラの改善に向けた財政投資を行っているものの、そのコストを回収するために十分な利益を得ていないことが明らかにされている。水道事業者は連邦政府による財政支援に依存しているほか、財政確保に向けて地方債を活用しているが、コスト回収モデルを変える必要があるとしている

[1] 以下のwebページにて必要情報を記入の上、ダウンロード可能。
http://us.grundfos.com/whorunsthewater/download-report.html

タグ「」の記事:

2020年7月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中のマイクロプラスチックの定義を発表
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年5月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中の六価クロムの新汚染基準策定に向けたワークショップを開催
2020年3月24日
米EPA、飲料水中のPFOAとPFOSの規制を予備決定
2020年2月23日
米州水規制規制機関協会ADERASA、上下水法規に関する第12回イベロアメリカ・フォーラム開催