現地で報じられたところによると、2017年5月12日、ベトナム・ホーチミン市において水処理および環境分野におけるベトナム-韓国間の協力関係拡大について意見を交わすフォーラムが開催された。このフォーラムは、ベトナム環境総局(VEA:Vietnam Environment Administration)と韓国環境産業技術院(Korea Environmental Industry and Technology Institute)が共同開催したものである。
大量の工業・生活廃水が処理せずに放出されている現状
VEAの法規制政策局(Department of Policy and Legislation)部長のDuong Trung An氏は、ベトナム国内283箇所の工業団地は1日あたり50万m3以上の廃水を排出しており、そのうち廃水処理システムを備えているものはほとんどないと指摘する。また、国内800の都市部では毎日約300万m3の廃水が放出されており、その大半は処理されていないという。Trung氏は、こうした状況下、水処理と環境分野への投資は喫緊の課題であり、この分野への投資を促すため多くのインセンティブが導入されていると話した。
フォーラムでは、水処理と環境保護分野に関連する技術について、複数の韓国企業が参加者に紹介するプレゼンテーションが開催された。膜分離活性汚泥法(MBR)を使った濾過技術について提案したEconity社[1]は、このMBR技術について、サムスン社が工業廃水処理のために使用しており、米国やイタリア、アジア西部ではすでに広く普及しているものだと説明した。また、DongMyung社は、ガスステーションにおいてガス漏れを検知し、漏洩したガスを回収する技術の応用についてプレゼンテーションを行った。参画した韓国企業は、ベトナムと協力関係を構築し、自らが持つ先進技術をベトナムに普及させることに意欲を示した。
VEA南部環境保護部(Southern Environment Protection Department)のTran Phong部長は、環境産業はベトナムにおいては新しい産業であるが、韓国はこの分野での経験があるとした上で、韓国が技術移転を通じ、水処理と環境保護の問題に取り組むベトナムを支援してくれるとの期待をのぞかせた。
[1] http://www.econity.com/
Econity社のMBR技術についての概要は以下に掲載されている。
http://econity.com/down/MBR%20Process_English_20140820.pdf